オンプレとクラウドの違いとは??要点を抑えて最適な選択を

2023-07-27

オンプレとは?クラウドとは?

近年のITビジネス界隈では、「オンプレ」や「クラウド」という言葉を耳にする機会が増えたと感じる人は多いでしょう。

しかし、2つの言葉の意味をまだ十分に把握できていない人もたくさんいるかもしれません。社内でITシステムを構築・運用する方法には、オンプレとクラウドがあります。

オンプレやクラウドの違いをそれぞれ詳しく解説しますので、正しい知識を身につけていきましょう。

オンプレ

オンプレとは「オンプレミス」の略称です。

IT業界ではよく使われる用語としても知られており、クラウドと比較されています。オンプレは、情報システムを自社内で保有することを指します。自社でサーバーを運用するため、サーバーのほかソフトウェアライセンスやストレージなども自社で用意しなければなりません。

英語では「on-premise」と表記されます。「premise」には建物や構内という意味があることから、情報システムを自社内ですべてまかなう内容が込められていることがわかります。オンプレは、自社内やデータセンター内にシステムを構築するのに必要な回線やサーバー、ソフトウェアなどを設置していることが最大の特徴です。

自社でシステム構築、運用したい場合はオンプレが向いているでしょう。自社でシステム運用に必要なツールを調達するため、独自のシステムを構築しやすくなっています。

システムを好きなように構築し、連携できるため、自社の特性に合わせやすいでしょう。しかし、そのぶん初期費用がかさみやすいといったデメリットもあります。また、運用や管理などにかかる手間が多いので、企業によっては負担が大きくなる場合があるかもしれません。

クラウド

クラウド(cloud)とは、インターネット上でストレージやデータベース、アプリケーションなどを利用できる 仕組みです。ストレージやデータベース、アプリケーションなどはクラウド業者が保有・提供しています。

クラウドはオンプレのように自社内にサーバーやネットワークなどを設置せずとも、簡単に利用できます。ITシステムを自社で保有しなくて済むため、導入もスムーズに進むでしょう。クラウドサービスの例には「Google カレンダー」「Google スプレッドシート」のほか、WEBメールやSNSなども含まれます。 「 いちはやく導入したい」という企業は、はじめはクラウドの利用を検討したほうがよいでしょう。

クラウドは、2000年頃から注目されはじめたサービスです。従来はオンプレでの情報保有・管理が一般的でしたが、自社のインフラの設備や運用・管理にかかるコストに悩む企業が増えました。そのため、クラウドでの情報保有・管理に目が向けられ、現在では多くの企業がクラウドを利用しています。

クラウドのなかでも、特性によって「プライベートクラウド」と「パブリッククラウド」に分けられています。プライベートクラウドとは、クラウド事業者の環境に自社オリジナルのクラウドを構築することを指します。 オンプレのような使い方が可能で、他社が利用することがないのでより自社の業務に合わせたシステムを構築できるでしょう。

パブリッククラウドとは、不特定多数のユーザーが利用することです。企業や個人を問わず利用できるため、 より秘匿性の高いものにしたい場合はプライベートクラウドがおすすめです。

オンプレとクラウドの違い

オンプレとクラウドは、利用するサーバーに最も大きな違いがあります。クラウドは仮想サーバーですが、オンプレは物理的なサーバーを利用しています。オンプレには「自社でハードウェアを設置したり管理したりできる」「カスタマイズの柔軟性がある」「高度なセキュリティが可能」という特徴がありますがあります。

一方、仮想サーバーのクラウドの特徴は「初期投資いらずで導入がスムーズ」「ハードウェアの管理がいらない」「リソースの増減を自由にできる」です。

オンプレを導入・運用するのは大変ですが、情報管理を外部に委託せずに済むのでセキュリティの安全性が高い一方、クラウドは導入・運用がスムーズです。

一長一短のため、どうしても導入で悩む場合、2つのシステムの特徴を考慮し、業務の特性やシステムの目的に. 応じて使い分けることも検討してください。良質な使い分けることで、効率的な運用が実現します。

比較して分かるそれぞれの長所・短所

オンプレやクラウドの特徴をチェックしてきましたが、次はいくつかのポイントに絞って2つの違いについて理解を深めましょう。

オンプレやクラウドの導入を検討している人が特に気になるのは「セキュリティ面」「金銭面」「運用負担面」ではないでしょうか。それぞれ詳しく解説します。

セキュリティ面

まずは、オンプレとクラウドのセキュリティ面を比較してみましょう。セキュリティ面では、クラウドよりもオンプレのほうが安心です。

クラウドの場合、すべてインターネットを経由してデータなどの送受信が行われます。情報保有・管理も外部に委託することになるため、どうしてもセキュリティ面ではオンプレよりも弱くなりがちです。クラウドを利用する際は、セキュリティ面のリスクは覚悟したうえで導入を検討したほうがよいかもしれません。

一方、オンプレは自社内にサーバーを設置し他社の介入がないため、クラウドよりもセキュリティの安全が確保されています。システムの構築や運用はローカル環境で行えるので、安心感もあるでしょう。

高度なセキュリティを重視して運用したい企業は、オンプレがおすすめです。特殊なシステムを開発しなければならないのでコストや手間がかかりますが、そのぶんセキュリティ面でも独自の運用が可能です。インターネットからは分離したところでシステムを運用できるため、外部からの攻撃も受けにくいでしょう。

さらに、自社の独自システムであることは、利用制限も自由にできることにつながります。利用の制限を自在に調整できれば、セキュリティのレベルも簡単に向上できます。クラウドサービスを利用している企業のなかにも、機密性の高い情報を管理するのはオンプレにしている場合も多いです。

基本はクラウドを利用し、セキュリティ対策のためにオンプレを利用するのも一つの方法です。オンプレであれば「社外には出せない機密性の高い情報があるので徹底的に管理したい」という希望も実現できます。しかし、最近ではクラウドでも、セキュリティサービスを提供しているケースもあります。自社に合ったセキュリティ サービスを実施すれば、リスクも軽減できるかもしれません。

金銭

金銭面で比べると、クラウドのほうがコストを抑えて導入できるでしょう。クラウドは初期投資が不要なため、最小限のコストでの導入が可能です。「システム開発に割ける人材があまりいない」といった場合も、クラウドであれば新たに即戦力人材の採用や教育をすることはありません。

採用や教育にかかるコストを削減したうえで、良質なサービスを受けられるので負担を軽減できるでしょう。「初期投資や運用管理のコストをできるだけ抑えたい」「コストにとらわれずシステムを運用したい」といった企業は、クラウドを検討しましょう。

クラウドは初期投資がいらないぶん、導入がスムーズです。予算内での運用も叶えられるため、スタートアップ企業にも向いています。プロジェクトをスタートするまでの時間も、大幅に短縮できるはずです。一般的な クラウドは、従量課金制が採用されています。

そのため、支払うのはサービスを利用したぶんの料金のみです。きちんと計画を立ててクラウドサービスを利用すれば、予算内で十分なシステム運用・管理ができるでしょう。「使用量は少なそう」という場合は、クラウドでの利用で十分かもしれません。

また、クラウドは初期投資以外にもコスト面でのメリットがあります。オンプレとは異なり、クラウドは自社内で物理サーバーやハードウェアを設置・管理しなくてよいため、管理費や維持費も削減できます。

一方、オンプレは自社でサーバー機器を買い取ることもあるので、初期投資がとても大きくなる傾向があります。ソフトウェアの購入や、ライセンス取得にかかる費用も忘れてはいけません。 ただし、自社に合ったサーバーサイジングを長期間利用するのであれば、コスト面の利点もあるでしょう。

運用負担面

総合的に考えると、オンプレよりもクラウドのほうが運用負担は軽いでしょう。オンプレは自社内にサーバーなどを設置しているため、セキュリティ面は安心です。

しかし、サーバーが災害で破損してしまうとデータがなくなるケースもあります。さらに、ハードウェアに障害が発生した場合も負担が大きくなります。障害が生じた時点で自社内のスタッフによる復旧が必要なため、いったんスタッフ自身の業務が停止してしまうリスクもあります。

クラウドを利用している場合は、災害が起きたとしてもインターネット上にデータを保管しておけるため、 データが消失するリスクは軽減されるでしょう。クラウドで障害が発生した場合は、クラウド事業者が対応するため自社の負担も減らせます。

また、バックアップ導入も同様で、オンプレがバックアップ導入にもコストや、機器を取り入れる手間がかかる一方で、クラウドではバックアップも低コストかつスムーズな導入が可能です。

業種・規模別おすすめのタイプ

情報システムの導入でオンプレかクラウドか悩んでいる人は、自社内の規模や設備、業種、顧客層などを踏まえて決めるとよいでしょう。

オンプレとクラウドにはそれぞれ特性があるので、それを満たす条件が必要です。2022年においてどのような 基準でオンプレかクラウドかを選べばよいのか、事例を踏まえて紹介します。

オンプレが向いている企業

オンプレの導入が向いている企業は、中堅企業や大規模な組織です。

オンプレは自社でシステムを構築したあとは、社内で運用・管理しなければなりません。自社内でシステムを運用・管理するということは、ある程度人材が集まった企業や組織でなければ負担が大きくなるばかりでしょう。

そのため、システムの運用に十分な力を注げる中堅企業や大規模組織には、オンプレが向いています。オンプレの導入を検討しても、社内にシステムの管理体制を整えられる環境がなければ意味がないので注意してください。

また、導入済みの業務システムと連携したい場合は、カスタマイズ性の高いオンプレを取り入れるとよいでしょう。独自のカスタマイズが必要ならば、クラウドよりもオンプレがおすすめです。オンプレは業務システムの 連携のほか、自社の組織体制や目的に合わせた機能をつくりなおすこともできます。

たとえば「大規模な業務変更があった」「組織改編が大規模に行われる予定だ」というケースは、オンプレが 役に立ちます。クラウドに比べるとカスタマイズの柔軟性に優れているため、スムーズな運用に移れるでしょう。

また、オンプレはセキュリティ面を最重要視する企業や組織は利用したほうがよいものです。 独自のセキュリティ対策を行えるので、システムを提供する事業者に依存することはなくなります。

外部に委託しない安心感に加え、セキュリティの強度を自社で高められたり担保できたりするので、安心・安全に情報を守れます。金融や保険業界、サービス業などではオンプレを活用している例が多いです。

クラウドが向いている企業

クラウドの導入には、中小企業やスタートアップ企業が向いています。クラウドは、基本的に初期投資が不要なのでコストを抑えて導入ができます。中小企業やスタートアップ企業は規模が小さいため、社内のリソースが 限られているのが現状でしょう。

そのため、初期投資や運用負担の大きいオンプレを使い始めると、企業がどんどん疲弊していく原因にもなりかねません。しかし、クラウドであれば自社でサーバーの設置や、インフラ構築の必要はありません。

「初期コストを抑えたい」という希望を優先させるのならば、まずはクラウドの利用を検討しましょう。 クラウドを利用すれば、運用コストも抑えられます。ほとんどのクラウドサービスは、ユーザー数によって料金体系が決められています。

支払う料金は使ったぶんのみなので「試しに導入してみたい」といった実験的な試みでも始めやすいでしょう。スモールスタートにも対応しやすいため、社内のある組織にのみ導入したいケースでもクラウドは役に立ちます。

さらに、クラウドでは、自社によるメンテナンスや保守が必要ありません。社内のスタッフだけで管理や運用するためには、ある程度のリソースが必要です。情報システムの構築や管理などに割ける人材やノウハウが十分でない企業は、無理をせずクラウドからスタートすることをおすすめします。

社内リソースがない場合でも、クラウドであればすばやい導入が可能です。スタッフが慣れるのも早いため、 スムーズに業務効率化を実現できるでしょう。クラウドは建設業や運輸業、卸売・小売業で多く活用されています。また、外部からのアクセスも簡単にできるので、テレワーク中心の企業にも人気のサービスです。

オンプレとクラウドのハイブリッドが向いている企業

2022年において全体の業種で多く見られるのは、オンプレとクラウドのハイブリッド化です。オンプレと クラウドのハイブリッド化とは、オンプレとクラウドの特性や機能をどちらも取り入れた形態を意味しています。

「ハイブリッドクラウド」とも呼ばれており、オンプレとクラウドそれぞれの魅力を、適材適所のようなかたちで導入している企業が増えている傾向があります。ハイブリッドクラウドはオンプレとクラウドのメリットを取り入れるため、双方のデメリットをカバーし合うことも可能です。

最近では、情報管理に厳しい金融業界でもクラウドの機能を導入する動きもあり、オンプレとクラウドの使い分けを行っています。たとえば、社内全体で共有したいデータはクラウドを活用し、顧客情報などの機密性の高いデータはオンプレで管理している企業は珍しくありません。オンプレとクラウドを使い分ける企業は、 セキュリティ面を強化する場合にオンプレを導入していることがほとんどです。

一方、公開中のWEBサーバーなどはクラウド上に設置し、リソースを増減できる柔軟性と高い処理能力を活かして利用しています。いずれにしても、オンプレとクラウドの使い分けは、自社の業務や環境に応じて組み合わせなければなりません。

オンプレからクラウドへの移行を検討している企業は、はじめからシステムのすべてを変更しないほうがよいでしょう。ハイブリッドクラウドは、業種や規模感を問わず取り入れやすいものです。ゆくゆくはすべてオンプレで管理・運用したい企業も、まずはハイブリッドクラウドで様子見してもよいかもしれません。

まとめ

近年、ビジネスを行ううえで欠かせないのがオンプレとクラウドの活用です。

金銭的な不安がある場合はクラウド、セキュリティ面での心配がある企業はオンプレの導入を検討しましょう。クラウドサービスの概要をもっと詳しく知りたい人は、直接クラウド事業者に問い合わせることをおすすめします。

また、オンプレとクラウドの特性やメリットをまとめて組み合わせる方法もあるので、ぜひ本記事を参考に自社に合ったシステムを導入してみてください。