マニュアル作成のコツとは?具体的な工程をわかりやすく解説!
アルバイトや新入社員の教育で必要になるのが業務マニュアルです。しかし、実際にマニュアルを作るとなると、何から始めたらいいのかわからない人も多いと思います。
本記事では、マニュアルの作り方に悩んでいる人に、わかりやすいマニュアルを作るためのコツを具体的な工程とともにご紹介します!
Contents
マニュアルはなぜ必要?
新たに入ってくる社員やアルバイトが仕事を覚える際、作業に関する決まりごとや知識などを総合的にまとめたマニュアルがあれば、スムーズに仕事を覚えられるでしょう。
マニュアルを事前に準備しておくことで、新入社員やアルバイトが教育担当に都度作業を教えてもらわなくても仕事の目的や方法を学ぶことが可能です。すべての業務を教育担当が教えるのではなく、マニュアルを見てわからない点だけを教育担当に聞くことで、効率的に仕事を進められます。
結果として、教育担当が新入社員やアルバイトを指導する時間も大幅に削減できるため、各々の仕事に集中できる環境が実現します。
また、作業の手順や流れ、システムやツールの操作方法などを体系的にまとめたマニュアルが仕事にもたらすのは、業務の明確化と標準化です。
仕事は多くの人が関わって成り立っているので、業務における到達目標を明確化させる必要があります。そんなときに活躍するのが、業務の到達目標を明確化させるために必要な情報や知識を組織内で共有できる機能をもったマニュアルなのです。
すべての社員が同じレベルの業務ができるように目標達成のための最適な工程をマニュアル化することが業務の効率化につながります。
このようにマニュアルを作成することで業務が明確化・標準化でき、社員やアルバイトが業務をより効率的に進められるため、会社全体の業績アップにつながるでしょう。
マニュアル作成のメリットとは?
マニュアルを作成することで、教育業務の効率化、業務の明確化・標準化につながると解説しましたが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
早期の人材育成
マニュアルを使用することで、新入社員やアルバイトを早期に育成することが可能です。マニュアルがあることで、業務の全体像や細かな知識を勤務初日から文書として目に見える形で渡せるため、新入社員やアルバイトは自分の仕事内容を短時間である程度把握でき、説明の時間も短縮できます。
同じ業界の会社から転職してきた社員や他の部署から新たに配属されてきた社員、まったく別の業界から転職してきた社員など、人によって状況は異なりますが、いずれの社員もマニュアルが用意されていることで早い段階から戦力になるのです。
また、会社によっては人材育成に教育担当の社員をつけることもありますが、マニュアルがあれば教育担当が新入社員やアルバイトに付きっきりにならずにすむため、教育担当の社員が本来の業務に集中できます。
知識やノウハウを口頭で共有するのはそれだけでもかなりの時間を必要としますが、マニュアルを活用して新人教育の時間を短縮できれば、会社全体として生産性が向上します。
ただし、マニュアルを見ても手順や進め方がわからないケースもあります。疑問点はすぐに質問できる体制を整えておくことが大切です。
業務品質の均一化
マニュアルを用意することによって、業務品質の均一化を図ることが可能です。
基礎的な業務知識や進め方などに加え、これまでに社員それぞれが経験したことや気付きをマニュアルに盛り込めば、社員全員の情報共有につながり、社内の情報格差を減らせます。業務に関する情報格差を減らせるということは、誰が担当しても品質を落とさずに商品やサービスを提供できるということです。
さらに、マニュアルがあることで業務の流れが明確化され、責任の所在がつかみやすくなるので、何らかのミスやトラブルが起きた際も迅速に原因を究明できます。
業務の品質を均一化できればトラブルを減らせる上、仮にトラブルが発生した際でも対応に追われる時間を削減できるため、業務品質の改善やさらなる顧客満足度の向上のために時間を有効活用することが可能です。
また、業務品質が均一化されて商品やサービスのクオリティにばらつきがなくなれば、顧客からの信頼も得られるでしょう。
属人化リスクの解消
業務マニュアルの作成によって、業務が属人化するリスクを解消することが可能です。
業務が属人化すると特定の担当者しか業務内容がわからず、担当者が休んだときに対応ができないなどの影響が出てしまいますが、マニュアルで業務内容を明確にすることで、担当者がいなくても他の社員が代わりに業務を遂行できるようになります。
業務の属人化は作業の遅延を招くため、社員全員が業務を遂行できるようなマニュアルを用意しておくことが大切です。業務内容がしっかり周知されていれば、担当者が出勤できない場合でも問題なく業務を行えるので、常に最高のパフォーマンスで商品やサービスを提供できます。
さらに、属人化のリスクを解消することで、担当者が特定の顧客を優遇するといった不正の防止にもつながります。仮に不正が発覚すれば他の顧客からの信頼を失うことになり、最悪の場合会社の存続も危ぶまれるため、コンプライアンス遵守の観点からも業務の属人化は避けなければなりません。
また、社員の退職や社内で異動があった際に、業務の引き継ぎがうまくいかず業務に影響が出る場合もあります。しかし、事前にマニュアルを作成して属人化のリスクを解消しておけば、次の担当者へスムーズに業務を引き継げるでしょう。
もしも、新しい担当者がその業務に関して未経験であっても、マニュアルの手順に従えばすぐに通常通りの業務が行えるので、担当者が変更になっても切れ目なく商品やサービスを提供することが可能です。
業務改善につながる
マニュアルを作成する際は、これまでの業務内容を整理しなければなりません。そのため、マニュアル作成自体がこれまでの業務内容の見直しや改善につながります。
業務目的や内容、それぞれの作業手順を見直すことで、仕事の重複や作業ボリュームの偏り、今の時代に適していないアナログな手続きなどを洗い出すことが可能です。
さらにマニュアルは「この作業は先の流れのために必ず必要であり、廃止してはならない」「以前にはこんな失敗事例があった」など、作業の背景や過去に起こったトラブルを記録する役割も果たします。社内のナレッジを蓄積するのにもマニュアルは大いに役立つのです。
マニュアル作成は現状の業務を見直すきっかけになるだけでなく、新たな情報やナレッジを蓄積していく場所となるため、その都度業務を見直して改善していくよい循環が生まれます。よい循環が生まれれば社員も働きやすくなり、会社全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
マニュアル作成時の手順
マニュアル作成時の手順は主に4つのステップに分けられます。1つ目はスケジュール決め、2つ目はマニュアルの目次と構成決め、3つ目はフォーマット決め、そして4つ目がマニュアルの仮運用です。それぞれのステップについて、具体的に解説します。
スケジュール決め
マニュアル作成に入る前に、スケジュールを決めることが重要です。無計画の状態でマニュアル作成に取り掛かると、他の業務が忙しく作成を後回しにしてしまう、途中まで作成して放置するといった可能性があります。作成前に完成までのスケジュールを決めましょう。
「マニュアルをいつまでに用意すればいいのか」「作成にどれくらいの時間を割けるのか」などを考慮してスケジュールを立てることで、マニュアル作成を進めやすくなります。
また、スケジュールを立てる際には、チェックのための日程や予備日、マニュアル作成に必要な人員や工数が確保できるのかも確認しておきましょう。
目次と構成決め
マニュアル作成のスケジュールが決まったら、次は目次と構成決めです。内容を何も決めずに作成し始めても時間ばかりかかってしまい一切まとまらないため、マニュアルを作成する際は目次をつくった上で、各項目に対してどういった内容を盛り込んでいくのか構成案を作成します。
マニュアルを作成の目的や、新入社員やアルバイトに何を身に付けてほしいのかを踏まえて、マニュアル化したい作業を一覧化します。一覧化した作業に対して、内容や手順を整理すると目次と構成が決めやすくなります。
目次と構成が決まれば、あとは具体的な手順を付け加えていくだけなので、スムーズに作業を進められるでしょう。
フォーマット決め
実際にマニュアルを作り始める前にフォーマット決めます。文字の大きさやフォント、デザインをあらかじめ決めておくことで、作成時に悩むことなく内容を詰めていけます。
フォーマットをバラバラにしてしまうとデザインやレイアウトに悩む時間が増え、マニュアルの完成が遅れてしまいます。フォーマットを決めたら、テンプレートを用意します。テンプレートがあることで、複数人でマニュアルをつくる場合でも、比較的簡単にフォーマットを統一できます。
内容を記載
目次と構成に対して具体的な内容を記載していきます。文字だけで構成されたマニュアルは読みにくいので、適宜改行やイラスト、画像などを入れるとよいでしょう。
先ほど決めたフォーマットをもとに、カラー印刷やウェブ上での運用であれば重要な部分の文字色を変えて強調すると効果的です。白黒印刷で運用する場合は、文字の大きさや太さを変えると重要な部分が伝わりやすくなるでしょう。
仮運用
マニュアルが完成したら、本格的な運用を始める前に仮運用を行って改善点を洗い出します。まずは周囲にマニュアルの想定利用者を伝え、必要な情報に漏れがないか・他に加えるべき情報はないかといった修正に必要なフィードバックをもらいましょう。
フィードバックによって改善点が見つかった場合は、修正した上で仮運用します。仮運用することで、さらに不明点や深掘りが必要な点が見えてくる可能性があります。マニュアルの効果を最大限に発揮するためにも、本格的な運用を始める前に仮運用と改善点の洗い出しが必要です。
意識した方がよいポイントやコツとは?
マニュアルを作成する際には、何を意識した方がよいのでしょうか。伝えたい内容が伝わるマニュアルにするためのポイントやコツを紹介します。
5W1Hを意識する
5W1Hとは、Who(誰が)/When(いつ)/Where(どこで)/What(何を)/Why(なぜ)/How(どのように)をまとめた略語です。これはビジネスシーンにおける基本の考え方としても広く知られ、正確な情報伝達や作業の円滑化、業務の質の向上など多くのビジネスシーンで役に立ちます。
マニュアルを作成する際は、この5W1Hを意識することで伝える内容をよりわかりやすく簡潔にまとめることが可能です。
具体的には、このマニュアルを誰が使うのか・いつどこで何に対して適用するのか・なぜ作成する必要があるのか・どのように利用するのかといったことを考え、それぞれの要素に当てはめて業務の流れを整理していくと、読み手が理解しやすいマニュアルを作成できます。
判断基準を明確にする
マニュアルには業務の基本だけでなく、あらゆるケースに対応できるよう業務の判断基準を明確に示しておきましょう。
仕事に慣れていない新入社員や新たに入ったアルバイトは、さまざまな場面でどのように判断すればよいのかわからないケースが多いため、業務の判断基準が明確に示されていれば、経験の浅い新人でも安心して仕事に取り組めます。
また、対応策としておすすめなのが過去にあった事例を資料としてマニュアルに盛り込むことです。過去の事例をもとに「もしもこんなことがあったら」というパターンをいくつか想定して用意しておけば、いざという時でもマニュアルを参考にして対応できます。
マニュアルを作成する際は、経験豊富な社員の話を参考に可能な限りさまざまなケースを考えておくとよいでしょう。
予想できるトラブル例を記載する
マニュアルがあっても、ミスが発生して取引先や顧客からクレームを受けることもあります。そのような場合でも適切に対処できるよう、マニュアルには予想できるトラブル例を記載しておきましょう。
トラブルが起きた際に対処法がわからずに放置、もしくは適当に対処してしまうと、さらに大きなトラブルに発展する可能性があります。あらゆるトラブルを予想しておくことは非常に大切です。
また、以前起きたミスや、間違えの発生しやすい業務をマニュアルで共有しておくことで、同じミスを未然に防げます。これまでに起きたミスの内容を知った社員は、同じミスを繰り返さないように意識するようになり、仮に同じミスが起こっても適切に対処することが可能です。
トラブルやミスに対して適切かつ迅速に対応できれば、問題が大きくなるのを防げます。
マニュアルを運用するときのポイント
マニュアルは完成したら終わりではなく、継続して管理・運用していくことが大切です。作成したマニュアルを効果的に運用するためのポイントを紹介します。
場所を明確にする
誰もがすぐに確認できるよう、マニュアルは見やすい場所に保管しておくことが大切です。とくにオンライン上で保管されていると、どの場所に何のマニュアルのデータがあるかわからなくなってしまいます。そうすると社員やアルバイトは一気にマニュアルを活用しなくなります。
マニュアルを活用しなくなることで、教育業務の効率化、業務の明確化・標準化といった効果が得られなくなってしまいます。社員全員がアクセスする社内ポータルをすでに構築・運用している企業であれば、社内ポータルの適切な箇所にマニュアルを配置しておきましょう。
マニュアルは、社員やアルバイトが、いつでも閲覧・検索・活用できるようにしておくことが大切です。もし、社員は社内ポータルで閲覧できるがアルバイトには権限がない、現場にパソコンがないなどの場合は、印刷したマニュアルを用意するなどの対応を取りましょう。
担当者を決める
マニュアルを適切に運用していくためには、管理・運用を行う担当者の存在が大切です。担当者を決めておかなければ、マニュアルの情報を誰かが更新してくれると他人任せになってしまい、いつまでたってもアップデートされない状況が続きます。
管理者を決めることで、定期的にマニュアルが更新され、社員は常に最新の情報を確認できます。マニュアルは完成したら終わりではなく、継続運用してこそ意味があるので、意味のないマニュアルにならないよう完成後は必ず担当者を決めておきましょう。
規模によっては社内すべてのマニュアルを1人で管理するのは負担が大きくなるため、部署単位もしくはチーム単位で担当者を設定するのがポイントです。
定期的に更新する
マニュアルを運用する上で最も重要なのが、定期的に内容を更新することです。業務内容の詳細まで理解できるように作成されたマニュアルであっても、古い内容のまま放置されていれば現場で利用できないマニュアルになってしまいます。
そのため、新たな業務が増えた際や会社の状況が変わった際はマニュアルを更新しなければなりません。新たにマニュアルを作成したら、常に最新の状態を保てるよう無理なく更新できるタイミングを設定しましょう。
まとめ
マニュアルを事前に準備しておくことで、新入社員やアルバイトを早期に育成することが可能です。また、マニュアル作成自体が、業務の明確化・標準化につながります。
マニュアル作成の際は、スケジュールや目次・構成を決めてから進めることで、後回しになってしまうリスクも減るでしょう。また、テンプレートを用意することで、フォーマットを統一しやすくなります。
マニュアルは組織にさまざまなメリットをもたらすため、作成することで会社全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。