社内情報共有に活用|ビジネスフレームワーク(戦略を考える)

前回までに社内情報に共有できるビジネスフレームワークとして、問題解決のアイディアの①創出・発想方法②収束方法③選択方法について紹介してきました。
今回はでてきたアイディアを、実際に使える状態へ持っていくための戦略の策定に使えるビジネスフレームワークについてご紹介していきたいと思います。
戦略とは
戦略とは、問題解決を行うための、総合的な準備・計画・運用の方策の事を指します。目的をどのように達成していくかを示す道しるべ的な意味合いを持ちます。

戦略をレベル毎にピラミッドで表すと、最も上位の概念には「経営目的」が位置します。「経営目的」とは「何のために組織が存在するのか」という組織を形成する上で最も重要な概念です。その次に「組織として何を達成したいのか」という経営目標が存在します。経営目的や経営目標を実現するために、全体戦略を考えます。
全体戦略とは、組織全体に関わる経営レベルの戦略の事を指します。その下に、個別戦略(事業単位・プロジェクト単位・部門単位での戦略)、戦術(戦略を実現するための具体的な方法)、業務(実行策)が落とし込まれます。
今回は上記の戦略の概念に基づいたビジネスフレームワークを紹介していきます。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM分析)

「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)」は既にご存じの方が多いかもしれません。自社事業の全体像を俯瞰し、戦略を考える際によく使われるビジネスフレームワークです。
この考え方は、1970年代に「ボストン・コンサルティング・グループ」が提唱したもので、「プロダクト」「ポートフォリオ」「マネジメント」の3つの頭文字を取って名付けられています。
具体的には「市場成長率」と「市場占有率」を軸としたマトリクスを使用して、自社の保有する事業の分析と戦略設計を行います。4つの象限はそれぞれ「花形事業」「問題児」「金のなる木」「負け犬」と呼ばれます。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)の前提として「市場成長率の高い事業(縦軸)ほど、業界の変化や競合他社の動きが活発なため、経営資源の投下が必要」「市場占有率(横軸)が高い事業ほど、利益を上げやすい」ことが挙げられます。
当該事業の目的が何なのか(収益獲得目的、未来への先行投資、安定収益、など)を明確にし、自社の保有している経営資源、今後の投下資源、などを検討してみましょう。
使い方
- 「保有する事業を書き出す」:自社の保有する事業を書き出します。このとき、事業の売上規模、事業規模を円の大きさで表します。付箋などを使う場合もあるかと思いますが、その場合も、規模の違いが一目でわかるようにしましょう。
- 「今後の方針を考える」:書き出した事業に関して、今後どのような戦略をとっていくかという方針を考えます。ポイントは「金のなる木」の象限にある事業から生まれる収益を「問題児」の事業に注ぎ、シェア率を挙げ、「花形事業」に育てることです。
ポイント
ここでのポイントは「問題児→花形事業→金のなる木」の流れを意識することです。戦略を設計する際は、この流れを意識するとともに、多少リスクをとってでも「問題児」の事業に経営資源を注ぐこと、そのための体制づくりをいかに行っていくかが重要です。
アンゾフの成長マトリクス

「アンゾフの成長マトリクス」は自社事業の成長戦略を考える際に活用されるビジネスフレームワークです。イゴール・アンゾフ氏によって提唱されました。
事業の成長を「製品」と「市場」の2軸におき、その2軸をさらに「既存」と「新規」に分けて表した企業の成長戦略をシンプルに表現しています。方向性を大きく4つに分類し、事業拡大の戦略を探ります。
それぞれの4象限の特徴として、最もビジネスを展開しやすい既存製品×既存市場の「市場浸透」、「市場浸透」の次にビジネスを展開しやすい新製品×既存市場の「新製品開発」、難易度が多少高い既存製品×新市場の「新市場開拓」、最も展開の難易度が高い新製品×新市場の「多角化」が挙げられます。
使い方
- 「市場浸透」の戦略を考える:既存製品で既存市場のマーケットシェア率を高める戦略を考えます。既存顧客の一人当たりの購買数(額)を上げたり、リピート率を高めるなどの戦略が挙げられます。
- 「新製品開発」の戦略を考える:既存の顧客に対して新製品を提供する戦略を考えます。既存商品の関連商品開発や付属商品、バージョンアップ商品、機能追加商品の販売などが挙げられます。
- 「新市場開拓」の戦略を考える:新しいエリアやターゲットなど、これまでアプローチしてこなかった市場の開拓を目指します。特定エリアから全国へ、日本から海外へ、若者向け商品をシニア層へ広げる、など。
- 「多角化」の戦略を考える:新製品を新しい市場へ展開していく戦略を考えます。
ポイント
ここでのポイントとして「多角化」は以下の4つに分類して考えることが出来ます
- 同じ分野で事業を拡大する「水平型多角化」
- バリューチェーンの上流または下流へと事業を拡大する「垂直型多角化」
- 既存の製品と近い製品を考えることで新分野へと展開する「集中型多角化」
- 全く新しい製品を、新しい分野へと展開していく「集成型多角化」
まとめ
ここまで、戦略の方向性を考えるためのビジネスフレームワークについてご紹介してきました。問題を解決するために考えたアイディアをどのように活かしていくか、目的を達成するための手法として本ビジネスフレームワークの活用を検討してみてください。
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ここまでお読みいただきありがとうございました。
引き続き宜しくお願いします。