【誰でも簡単!】顧客分析の際に役立つフレームワーク5選

2024-01-04

さて唐突な質問ですが、読者の皆さんが務めている企業で扱っている商品やサービスは「誰に何を届ける」ものでしょうか。

ぱっと答えるのは難しいかもしれませんが、ビジネスをやる以上は、この問いに対して答えられるようにしておくのはマストでしょう。

このように、自社が扱っている商品やサービスが想定している顧客を分析することは顧客分析と呼ばれます。

この記事では、まず顧客分析とは何なのかからはっきりさせ、そのあと顧客分析を行う際のフレームワークやポイントなどについて詳しく解説していきます。

顧客分析とは何か

ではまず、顧客分析とは何なのかについて解説していきましょう。

冒頭でも簡単に解説しましたが、顧客分析とは自社の売り上げを伸ばすために、顧客の属性やニーズ、行動を明らかにすることを意味します。

例えば、弊社の運営しているサービスGROWI.cloudを一つに例にとったとき、

  • GROWI.cloudはどのような人が利用しているのか
  • GROWI.cloudはどのようなシーンで活用する機会がありそうか
  • GROWI.cloudを購入する人はどのような経路でGROWI.cloudを認知するのか

などを明らかにしていくことです。

顧客分析のメリット

顧客分析のメリットは主に3つあります。

顧客についての理解が深まる

当たり前ですが、顧客分析をすると顧客についての理解が深まります。

しかし、当たり前とは言いつつも、なんとなく抽象的にか理解しきれていないという人も少なくないでしょう。

きちんとした顧客分析を行うことによって、より高い解像度で顧客を理解することができるのです。

顧客満足度が高まる

顧客理解がないままだと、自社の商品やサービスが果たして顧客のニーズを満たせているのかわからないですよね。

ですが、顧客分析を通じて顧客についての理解を進めていくことができると、顧客のニーズが明らかになっていきます。

そして、そのニーズに対して商品やサービスを修正していくことで、顧客満足度が高まっていくのです。

売り上げがアップする

顧客満足度が高まると、商品やサービスの評判が高くなっていきます。

そうなると、人づてはもちろん口コミサイトなどで取り上げられる機会も増えて、認知が拡大。

さらにレビューもいいので、類似サービスとの比較の際にも、自社のものを選んでもらう可能性が高まります。

こうして、顧客満足度が高まると、さらに顧客が増えて売り上げがアップするという好循環が生まれるのです。

顧客分析の際に使えるフレームワーク5選

パレート分析

ここでは顧客の状況を分析するフレームワークとして2つのフレームワークをご紹介させて頂きます。まず、「パレート分析」についてご紹介させて頂きます。

パレート分析とは、構成要素を大きい順に並べた棒グラフと、それらの累積量(全体に対する百分率)を示す折れ線グラフを組み合わせることで、上位の一部要素が全体にどのくらい貢献しているかをみる分析方法です。

顧客と売上の関係や、営業担当者と契約額の関係など、少数の人(要素)が全体の大部分を占める現象を「パレートの法則」と呼びます。この考え方を活かして、自社への貢献度が高い要素は何か、自社の資源をどこにどのくらい割くべきか、といったことを考えるフレームワークが「パレート分析」です。

限られた資源の中で最大の成果を得るための意思決定をする際に判断材料を見出すことが出来る点が特徴です。

使い方

  1. 「集計してグラフ化する」:顧客ごとの売上を整理してグラフ化します。累積比率を求めて第2軸で折れ線グラフで表す点がポイントです。
  2. 「グルーピングをして今後の方向性を考える」:数字を整理したら、今後の方針を設計するためにグルーピングします。グループごとの特徴や共通点などを分析し、今後の方向性を記載します。

ポイント

現在の顧客を整理する中で、今回している施策が効果的に回っているか、意図を持った施策になっているかを考えることが重要です。限られた経営資源をどのように配分していくかを考えることに役立ちます。グルーピングをする際は、自社の意図をしっかりと持つことが重要です。

RFM分析

「RFM分析」とは自社にとっての優良顧客を抽出・分類する分析手法です。顧客の購買行動によって顧客をグループ分けした上で、各グループの性質に合わせたマーケティング施策を実行していくために行うものです。最終目的はLTV(顧客生涯価値)の最大化にあります。

具体的には、顧客を「Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度、累計購入回数)、Monetary(累計購入額)」の3つの項目を切り口として、分類・分析をします。

使い方

  1. 「評価軸の定義と指標化」:RFMの各項目について、それぞれの定義や分析をする期間などを分析の目的に応じて設定します。後にグルーピングを行うために、各評価軸を点数化できるような指標を設定します。
  2. 「情報を収集して整理する」:収集した顧客の売上データをシートに入力します。一覧シートにRFMの項目の数値をそれぞれ入力して、総合点数を算出します。
  3. 「グルーピングして戦略・戦術の検討を行う」:点数を算出し、目的に応じてグルーピングをします。基本的にはRFMの合計点数で分けますが、その他の軸で分類しても問題はありません。作成したグループごとにアプローチの方向性を考え、具体的な戦略・戦術の設計を行います。

ポイント

合計点で見るのも一つの手法ですが、RFMのいずれかの項目の値が高い場合は優良顧客化できる可能性が高いので、各項目の数値に焦点をあて、潜在的な優良顧客として認識、キャンペーン等を設計するのも効果的な手法です。また、RFM分析により、最近みかけない(離脱した)顧客や逆に普段「お得意様」と呼ばれるような顧客を数値化できる点に特徴があります。

ペルソナ

ヨーグルトの販促に向けたペルソナ例

「ペルソナ」とは自社の商品やサービスの利用者となる顧客像を明確化したものです。年齢や性別などの基本的な情報のほか、どのような生活をしているか、どのようなことに興味をもっているか、悩みごとは何か、などといった情報を整理します。

ペルソナを設定する目的は、アプローチする顧客のことをより詳しく、顧客目線に立って状況や心理を理解することがひとつと、複数のメンバーで商品開発や企画を行う際にメンバー間におけるイメージの共有、イメージのズレをなくすことが主な目的です。

使い方

  1. 「ペルソナを抽出する」:自社の製品・サービスのターゲットとなる顧客を抽出し、ペルソナを設定します。ここでは特定の一人を思い浮かべて設定します。1つのペルソナをイメージする際は1人の顧客を想定することをお勧めします。
  2. 「調査を行う」:可能な限り、本人や身近な人へのインタビューやアンケート、観察を行い情報を収集します。ある程度想像ベースでペルソナを作成することは可能ですが、ペルソナの設定を誤るとのちの商品開発等に影響を及ぼすので、よりヒアリングベースでの実調査に基づく内容を反映するようにしましょう。
  3. 「情報を整理する」:情報を収集できたら、ペルソナ像を書き出して整理します。ペルソナ像は一回で正しいものができるとは限りません。仮説検証を繰り返す中で修正を加えながら、より実態に近いペルソナ像を作ることを心がけましょう

「ペルソナ」で収集する主な情報を下記に記載します。

名前、性別、年齢、家族構成、居住地、職業、収入、趣味、休日の過ごし方、好きな音楽、雑誌、業務内容、悩み、関心事、検索キーワード、など

ポイント

使い方のところでも触れましたが、想像ベースに留まらず、よりリアルな顧客(見込み顧客)を観察したり、インタビューを通して、事実やデータを反映するようしましょう。また、より具体的な人物像を想像できるレベルまで言語化しましょう。

共感マップ

「共感マップ」はターゲットの置かれている状況や気持ちを把握するための手法です。ターゲットの分析を行う際やマーケティング施策を設計する際に具体的なイメージを持てるというメリットやメンバー間でのペルソナに対する認識のズレを小さくできるというメリットがあります。

使い方

  1. 「対象を設定する」:ペルソナが誰なのかを設定します。その際、中心に顔を置き、名称や簡単なプロフィールなどを記入したり、顔写真やイラストなどを掲載すると、イメージが湧きやすくなります。
  2. 「要素を書き出す」:ペルソナが生活の中でどのような情報に触れているのか、何を感じたりしているのかについて整理します。まずは思い浮かぶことを書き出し、それから実際に調査した情報を加えていきます。
見ていること生活の中で見ているもの、触れている人物や商品・サービスなど
聞いていること周囲の人物から聞こえてくる声やメディアから聞こえてくる情報
考えていること・感じていること感情や思い、考えていること、悩みごとなど
言っていること・やっていること発言、行動、ふるまいなど、表に出ていること
痛みを与えるもの障害となることやストレス、リスクとなる要素
得られるもの望むもの、欲求、ニーズ、など
「要素」の項目事例

ポイント

ターゲットの置かれている状況や気持ちを把握するためには、作成者の前提にある認識を一度リセットすることが重要です。ペルソナの1日が想像できるまで言語化し、書き出したペルソナに共感できるまで具体化しましょう。

カスタマージャーニーマップ

スキンケア商品のカスタマージャーニーマップ例

「カスタマージャーニーマップ」とはペルソナが自社の商品・サービスを購入するまでにたどる体験プロセスを時系列のストーリーで図示したものです。顧客がゴール(コンバージョン)に至るまでに取る行動や感じることを顧客目線で把握できるというメリットがあります。

顧客の体験ストーリーを書き出し、整理していく際には、段階ごとの心理状況の中で、ネガティブな要素を可視化することがポイントです。何が次のステップに進まない要因となっているのかを把握し、解決策を設計することで次のステップに進むことができます。カスタマージャーニーマップを作成、分析したあとは、関係者と共有し、整理した心理状況やニーズを満たす方法を具体的に考える工程に進みます。

使い方

  1. 「体験プロセスを書き出す」:ペルソナの体験プロセスを主要な段階に分けて書き出します。
  2. 「行動とタッチポイントを書き出す」:各段階での詳細な行動と、そのときどのようなタッチポイントに触れているのかを書き出します。
  3. 「心理状況を書き出す」:各段階でどのようなことを感じているか、考えているか、その心理状況を書き出します。特にネガティブな要素を見逃さないことが重要です。
  4. 「ニーズを書き出す」:欲しているもの・こと・情報や、抱えている課題を書き出します。書き出した後は、次にどのような行動を起こすかを書いていきます。

ポイント

ここでのポイントはストーリーが飛躍せずに一連の流れとして連続しているのかがポイントです。顧客の体験ストーリーを自分で語れるか、自分なら何を感じるか、など、顧客の立場になりきることが重要です。

まとめ

ここまで、顧客分析における

  • パレート分析
  • RFM分析
  • ペルソナ
  • 共感マップ
  • カスタマージャーニーマップ

についてご紹介してきました。

自社の顧客をより具体的イメージする手法として、今回がご紹介させて頂いたビジネスフレームワークは有効です。

ぜひ機会があれば活用してみてくださいね!