デジタルデバイドが若者へもたらす問題とは?原因と対策をご紹介
近年スマートフォン、タブレット端末の普及、オンライン授業の開始などにより、デジタルデバイドという言葉を耳にすることが多くなりました。デジタルデバイドは高齢者や貧困層に限った話ではなく、20代以下の若者の間にも発生します。そこで本記事では、デジタルデバイドの概要から発生要因、若者へもたらす問題とその対策などをまとめて解説します。
Contents
デジタルデバイド(情報格差)とは
総務省は、デジタルデバイドを「インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差」と定義しています。インターネットの普及により、スマートフォンやタブレットなどのIT端末が日常に浸透した現在、情報の入手量や質が格段に向上した一方で、それらを使いこなせない人との間に情報格差が生まれています。この格差の広がりからデジタルデバイドが問題視されるようになりました。
デジタルデバイドが若者にも起きている理由とは
デジタルデバイドは、一般的に高齢者や貧困層の間に生じると考えられていますが、スマホネイティブである若者の間にも発生しています。その理由としては、以下が挙げられます。
スマートフォンの普及による深刻なPC離れ
内閣府が発表した令和3年度の青少年のインターネット利用環境実態調査によると、若者のインターネットの利用率は97.7%にも及ぶことがわかります。その中で、インターネット接続機器の利用率は、「スマートフォン」が70.4%と最も多く、「ゲーム機」が61.2%、「テレビ」が47.8%と続きます。一方で「ノートパソコン」は22.4%、「デスクトップパソコン」は8.4%と「スマートフォン」と比べて、かなり低い数値になっています。
考えられる要因としては、LINEやTwitter、InstagramなどのSNSを使ったコミュニケーションに加え、これまでパソコンを使う必要があった画像や動画の編集、WordやExcelといったアプリケーションでさえスマートフォンがあれば利用できるようになったことが挙げられます。
教育機関におけるICT教育の遅れ
国にとってICT教育は重要な政策のひとつで、文部科学省では、2019年(令和元年)より全国の児童・生徒1人に1台のタブレット端末と高速且つ大容量のネットワークを整備する「GIGAスクール構想」という取り組みを推進しています。とはいえ、日本のICT教育は海外と比べて遅れているのが現状です。
教育機関においてICT教育が遅れている理由として以下の2つが挙げられます。
- 予算不足
- ICT教育ができる教員の不足
資金不足
教育期間においてICT教育が遅れている理由のひとつとして、学校に必要な設備や教材を購入するための予算が不足していることが挙げられます。ICT教育を推し進めるためにはタブレット端末などの機器に加え、教室のLAN環境や電子黒板の整備、セキュリティ対策にも多くの費用が発生します。このように高水準なICT教育にかかる予算が不足していることがICT教育の遅れにつながっています。
ICT教育ができる教員の不足
ICTの教育が遅れているもうひとつの理由として、ICT教育ができる教員の不足が挙げられます。生徒にICT教育を実施するために、教員が先駆けてICT機器を使いこなせる状態にある必要があります。しかし、ただでさえ業務量が多いといわれる教員にとって、ICTに必要な知識得るための勉強時間、使いこなすための準備期間を確保することは困難です。
これらの理由から教育機関におけるICT教育の遅れが発生しています。
デジタルデバイドが若者へ与える問題とは
デジタルデバイドが若者に与える問題としては以下3つが挙げられます。
- 情報格差の拡大
- 教育格差の拡大
- 就職・キャリアの不利
情報格差の拡大
デジタルデバイドによる情報格差の拡大は、様々な問題を引き起こします。
例えば、インターネットを適切に使えないと、地震や台風といった自然災害、疫病の蔓延、テロなどが発生した際、避難経路や危険区域などの情報を入手することが困難になります。他にも、海外にいる場合、スマートフォンを使った翻訳、現在地の把握が出来ないと、対応が遅れ、万が一の事態に巻き込まれる可能性があります。
他にも、デジタルデバイドによる情報格差の拡大は、誤った情報に流されたり、大事な個人情報を流出してしまうといった、ITリテラシーの低下にもつながります。
教育格差の拡大
新型コロナウイルスの蔓延により、オンライン上での授業や課題の提出など、若者が学習を進める中でデジタル機器に触れる機会が増加しています。その際、デジタル機器やインターネットなどを活用することができる学生は、より質の高い教育を受けることができますが、一方でデジタル機器を所有していない、またそれらを上手く活用することができない学生は、教育の機会を失う可能性があります。このように、デジタルデバイドが原因となって教育格差が拡大すると考えられています。
就職・キャリアの不利
デジタルデバイドは、若者の就職やキャリアに大きな影響を与える可能性があります。近年、企業はITリテラシーの高い人材を求めています。そういった中で、デジタル機器の使用や、インターネットを用いた情報収集に慣れていない若者たちは、企業の望む人材とマッチせず、今後の就職において競争力を持たないことになります。
また、デジタルリソースを活用したビジネススキルや知識が必要な仕事も増えており、デジタルデバイドによってこれらの仕事へ就くこと困難になる場合もあります。このように、デジタルデバイドは若者のキャリアアップにも支障をもたらすことがあります。
若者のデジタルデバイドを防ぐための対策とは
若者のデジタルデバイドを防ぐための対策として、以下が挙げられます。
- ITリテラシー教育の導入
- IT技術を持つ人材の優遇
- デジタル機器の貸し出し
ITリテラシー教育の導入
若者のデジタルデバイドを防ぐための対策として、ITリテラシー教育の導入が挙げられます。例えばシンガポールでは、2013年に学校のインターネット環境の整備を100%達成しており、教育省による「ICT Connection」というWebサイトでは、教員が、教育省が常に更新している新しいeラーニングコンテンツを入手できます。アメリカでも、学校によってはJavaやVisualなどの基本的なプログラミングの学習や、オンライン授業の導入されています。またAppleやMicrosoft、Googleなど、世界的IT企業の協賛によって設立された「Code.org」というサイトでは、無料でIT教育を受けることも可能です。
このように日本でも若者のIT技術を成熟させるための土壌を創り上げることが、若者のデジタルデバイドを防ぐための対策として効果的であると考えられます。
IT技術を持つ人材の優遇
若者のデジタルデバイドを防ぐための対策のひとつに、IT技術を持つ人材の優遇が挙げられます。企業がIT技術を持つ人材を優遇することで、若者はIT技術の習熟に意欲的になると考えられるためです。また、リモートワークを取り入れるなど、企業側が働きやすい環境を提供することも若者のIT技術の習得に起因すると考えられます。
デジタル機器の利用促進
若者のデジタルデバイドを防ぐための対策として、デジタル機器の貸し出しも効果的であると考えられます。
現在、東京都渋谷区では、高齢者デジタルデバイド解消に向けた実証事業として、高齢者にスマートフォンを2年間無料で貸与、操作方法や活用方法の継続的な講習による利用促進を行うなどの施策が実施されています。
出典:高齢者デジタルデバイド解消に向けた実証事業(スマートフォン貸与)
このように、高齢者を対象としたデジタル機器の貸し出しに限らず、若者への積極的な貸し出し、講習などを行うことで、若者のデジタル技術の習得を促進し、デジタルデバイドを防ぐことができると考えられます。
まとめ
今回、デジタルデバイドが若者に与える影響とその原因、対策について解説しました。情報収集、コミュニケーション、取引などがオンラインで完結するようになった現代において、デジタルデバイドは解決すべき課題であると言えます。若者の間にデジタルデバイドが発生する原因はいくつかありますが、個人に限らず、企業、自治体、国全体がひとつひとつの課題を解決していくことで、デジタルデバイドの解消に近づくでしょう。
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