テレワークで情報共有ができていない?課題と問題解決方法
東京都が2022年4月に実施した調査によると、従業員30人以上の都内企業でテレワークを実施しているのは52.1%と、全体の半数以上に上っています。
しかしテレワークを行って業務を進めるにつれて、情報共有やコミュニケーションの面で課題が見えてきた企業も多いのではないでしょうか。
業務を円滑に進めるときや、ナレッジ共有の際に情報共有の仕組みができていないと、問題が起こりやすくなります。
そこで今回は、情報共有の課題とその解決方法を具体的にご紹介します。
テレワーク環境下での課題
テレワークは通勤時間を削減できるほか、雇用の拡大やそれにともなう企業の成長にもつながるメリットがあります。
しかしその反面、コミュニケーションにおいて課題を抱えやすい働き方でもあるのです。
コミュニケーションが円滑でないと、業務にも多くの支障をもたらしますが、そのひとつの課題として、情報共有があります。
顔を合わせていたときでさえ、たびたび問題提起されるのが、情報共有の難しさです。それが、テレワークとなるとさらに壁が高くなります。テレワーク環境下での情報共有の問題点は一体どこにあるのか、以下の記事で詳しく見ていきましょう。
コミュニケーションの不足
テレワークはオフィス空間での業務とは異なり、メンバー同士のコミュニケーションの機会が少なくなりがちです。
また、コミュニケーションの方法も対面会議からWEB会議、メール、チャットなどにシフトし、求められるコミュニケーションスキルや知識も変化しています。
状況にあったツールで、情報を迅速かつ正確に伝達するコミュニケーション能力が必要となるでしょう。
ルールやツールが確立していない
情報共有のルールやツールが確立していないと、ナレッジやノウハウが属人化しやすいことも問題点です。
これは組織によっての格差がありますが、情報共有の方法がきちんと確立していないために、自分が持つ情報をどのように共有していいかわからず、結果自分ひとりの知識となっていることが考えられます。
どのような情報を、どのタイミングで、どこに共有するかなど、情報共有に関するルールの設定と周知は非常に重要なポイントとなるでしょう。
質問しやすい環境が整っていない
質問や相談が気軽にできる環境でないことも、情報共有をうまく行うことの阻害要因と言えるでしょう。
社内では隣の人・近くの人に確認するのも、何気なくできていたかもしれません。しかしテレワークでは、簡単なことほど「こんな小さなことで連絡するのは悪い」と遠慮してしまう「後でまとめて連絡しよう」と後回しにしてしまうことがあります。
ほかの人の状況が視覚的に確認できないことも原因といえるでしょう。情報共有によって、各自の進捗状況が可視化できれば、環境改善にも役立ちます。テレワークでも状況に応じてすぐに質問・相談できる環境づくりをすることは必要不可欠です。
一方的な情報共有では効果を引き出せません。双方の情報共有を成り立たせるためにも、環境づくりは重要となります。
情報共有が不足することで起こる問題
情報を共有する仕組みが整っていない場合や、情報共有の重要性を理解できていない人は、知り得た情報を自分の中だけで貯めこんでしまいやすいものです。
情報は、組織においてとても重要な資源です。情報共有が不足すると実際にどんな問題が起き、どんな影響がでるのでしょうか。
コミュニケーションロスが起こる
コミュニケーションロスとは、意思疎通ができていないことが原因となり、行き違いや認識のズレから生じるミスや損失、トラブルが起きることです。
テレワークの環境下では一層発生しやすくなるといえます。情報共有が不足していることもコミュニケーションロスを引き起こす大きな要因となります。
情報共有を含め、テレワークでのコミュニケーションはテキスト中心となりがちです。どうしてもニュアンスなどが伝わりづらく認識のズレも起こりやすくなります。
情報共有をしっかり行ったうえで、双方で認識のすり合わせをしていくこともコミュニケーションロスを防ぐためには有効な方法といえるでしょう。
ノウハウの属人化が起こる
情報共有されずにナレッジやノウハウが属人化されると、業務が停滞する・効率が悪くなるなどの悪影響が出ます。
特定の人しか知り得ない情報のため、ほかの人では業務が進められないといった状況は、組織にとってのマイナス要因です。情報が必要となった場合でも、確認するために時間を割く必要があります。
すぐに確認できない可能性ももちろんあるので、トラブル発生時には、早急な対処が困難になるでしょう。顧客からの問い合わせにも、時間ばかりかかっては不信感につながることも考えられます。
特定の人しか対応できない状況は、業務の質の低下や生産性・業績にも影響を及ぼすことになり兼ねません。また、異動時や退職時などにノウハウの引継ぎが上手くできないと業務継続が困難になる場合も起こり得ます。
確実な知識や経験に基づくノウハウは、貴重な資産です。引き継がれず失われてしまうことは、企業にとっては大きな損失となることは言うまでもありません。個人の中に溜まったノウハウを社内へ還元しやすいよう、仕組み作りをしなければなりません。
チームワークの悪化
情報共有されていれば回避できた問題にぶつかると、チームワークの悪化にもつながります。トラブル発生時に即対応できた・知っていたら商談が進めやすかったなど、あらゆる問題に情報は必要です。
情報共有がされてなかったために、たびたび問題が発生すると、チーム内での信頼関係も崩れてしまうでしょう。信頼関係が崩れると、さらに情報共有がされなくなり悪循環が起きる事態に陥ります。
テレワークで情報共有を促進するポイント
テレワークはオフィスでの業務と違って、情報が耳に入ってくる機会が格段に少なくなってしまいます。周りからの情報を多く取り入れていくには、情報共有が欠かせません。
情報共有を進めていくためには、情報共有に関わる業務の優先順位が下がらないことが重要です。テレワーク環境下で情報共有を促進していくには、どのような点がポイントとなるのでしょうか。
重要性の周知
情報共有を促進するためには、まず情報共有がいかに重要なのか、どんなメリットをもたらすものなのか、しっかり周知する必要があります。
必要性を伝え、情報共有の性質を理解してもらわなければ、効果的な情報共有の実現は難しいでしょう。効果的な情報共有の活用は、知識の蓄積と共に作業スピード向上に役立ちます。
意欲的な実践につながるよう正しく周知しましょう。
情報共有しやすい雰囲気づくり
情報共有をしやすい土台となる雰囲気づくりも大切です。
情報共有したことによる効果や、メンバーからの反応・評価を実感できるようにすることも重要なポイントです。情報共有が評価につながるような仕組みはとても意味あることといえます。
ひとりひとりのモチベーション維持にもなり、情報共有することにお互いがメリットを感じるようになれば、次の情報共有につながり、さらに効果を発揮することでしょう。
意見を言いづらくなる・批判されるようで情報を伝えられないなど、マイナスなイメージになってしまう誤った環境は業務にもいい影響を与えることはありません。
業務状況の可視化
テレワークでは、ひとりひとりの作業の進捗状況もわからないため、業務の偏りやフォローが遅れてしまうことなどが考えられます。
また自分の知り得た情報に関連する業務を行っている人がいても、気がつかない場合もあるでしょう。
各自の業務の進捗状況が把握できるように、可視化することで、チーム全体の目標も定まりやすくなり、情報共有を促進するためにも有効であるといえます。
情報共有のルール作り
スムーズに情報共有するために、ルールを整備することもポイントです。
手間のかかる複雑なものは避け、シンプルなルールにすることが情報共有を円滑に回すコツです。すぐに検索できるよう、タグ付けのルールなども設定しておくとよいでしょう。
また緊急性の高い情報をいち早く確認できるよう、掲示板を設けておくことも有効です。スピード感を持って共有できるようなルール作りを心掛けましょう。ほかの業務も進める中で、情報共有が後回しにならないようにする対策も必要です。
あらかじめ情報共有するための時間を設け、スケジュールに組み込んでおくことも方法のひとつです。質問事項や報告内容をまとめておくことが習慣化すると、よいサイクルとなるでしょう。時間を要しますが、業務について不安のある新人のためにもマニュアルを作成することも効果的です。
情報共有ツールを活用する
テレワーク時でも情報共有を活性化できるようにするには、情報共有ツールを活用することが効果的です。
情報をリアルタイムで共有することが可能になり、必要なときに必要な情報にすぐにアクセスできます。
キーワード検索を利用できれば素早く情報にたどり着けるので、効率よい情報収集が可能となります。情報共有ツールを導入し、活用する仕組みを構築できれば、生産性の向上アップや業績アップにも大きな効果を発揮することになるでしょう。
情報共有ツールを選ぶ際に気を付けること
情報共有ツールを導入して効果を得るには、目的に合ったものを選ぶ必要があります。ツールは特化したそれぞれの特徴を持っています。トップダウンにならず、実際に使用する人たちの意見を取り入れることが、実現に向けてのカギとなります。
使いやすさ
シンプルで操作が簡単なものを選ぶようにするとよいでしょう。
中には操作が複雑で、ITの知識がないと難しいものも存在します。習得に時間がかかり、結果使いこなせず、情報共有が実現できない可能性も考えられます。全員が無理なく使えるものを選ぶことが、確実に情報共有を活用していくことにつながります。
使用人数や費用
情報共有ツールの多くは、使用する人数などによって月額費用が異なります。
また使用人数によって保存するデータ量も変わるので、事前に確認する必要があります。使用人数と費用のバランスも考え、費用の比較検討をするようにしましょう。
機能がニーズに合っているか
ツールの機能がニーズに合っているかを見極めなければなりません。コミュニケーション重視なのか、資料の保存重視なのかでも選ぶツールは変わってくるでしょう。
使わない機能が多いと使い勝手が悪く、積極的な情報共有の妨げとなります。機能の多さに惑わされず、ツール導入に求めるものを整理することが非常に大事です。優れた機能性は、機能の多さではないことを理解しましょう。
検索機能
検索機能は、効果的に情報共有を活用するためには必須の機能です。
検索方法の種類、速度、精度が高く必要情報の抽出が問題なく行えるか、などの確認が必要です。検索機能は、情報共有の効果を大きく左右するものです。詳細に確認しましょう。
費用対効果を検証する
費用対効果の高いものを選ぶことも企業・組織としては重要です。
ツールの中には無料で使えるものもありますが、効率化を図るならビジネスプランを購入した方がいい場合も多いでしょう。生産性が見込めるのか想定・算出することが大切です。
得られる見込みの利益や削減できるコストに合わせ、適したツールで高い費用対効果を目指すよう意識しましょう。
まとめ
この2年ほどで、テレワークもすっかり働き方のひとつとして定着してきました。これからもテレワークという働き方は、多くの企業が取り入れていくでしょう。
同時にテレワークにおける課題も浮き彫りになり、あらためて情報共有の難しさに直面しているともいえます。情報共有ツールはそんな状況に活躍してくれる価値あるものです。
機能の多さに惑わされることなく、自社のニーズに合ったツールを選ぶことが重要です。先々を想定して盛りだくさんの機能のツールを導入しては、結局使いこなせず終わってしまった、という事態にもなりかねません。
まずは、使いやすく利用しやすいツールを採用しましょう。貴重な資産である情報を有意義に活用していくには、ツールの存在は欠かせません。
仕事を円滑に進めるには、信頼関係は構築されなければならない重要事項ともいえるのです
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