社内情報共有に活用|論理的思考法(論理の5原則)
社内情報共有ツールに活用する情報を集めてみたものの、いざマニュアルや規程等を作成してみると、文章がまとまらない、個人の解釈次第では様々な解釈が成り立つのではないか、等困るケースなどもあるのではないでしょうか。
本記事ではマニュアルや規程等、文章を作成する上での基本に立ち返って、役立つ論理的思考法、論理的な文章の作り方などについて書いていこうと思います。
Contents
論理的思考とは
論理的思考とはロジカルシンキングとも呼ばれ、物事を客観的に見て、矛盾や飛躍がないように道筋を立てて考える思考法のことを一般的には言います。特に問題の解決策を考える場面で使われるケースが多いです。
論理の5原則
論理の5原則は以下の5原則で成り立っています。
原則1:論理の基本単位は、主語・述語で構成するひとつの命題(メッセージ)であること
原則2:ピラミッド構造であること(基本的な考え方は演繹と帰納)
原則3:上位メッセージを支える下部構造に抜けや歪みがないこと(MECE)
原則4:抽象のレベルが揃っていること
原則5:全体を支える最下部は事実またはそれに近い蓋然性の高いメッセージであること
原則1:論理の基本単位は、主語・述語で構成するひとつの命題(メッセージ)であること
- メッセージを書く際の要件としては「一文一義」を順守すること、ひとつの枠に2つ以上のメッセージを入れないこと
- 主語と述語で構成する
- 述語がなければ当然であるが何を主張したいのかが分からない。また修飾する言葉が多いと、結局何が言いたいのか読み手が混乱する可能性がある。
- 一文中に複数のメッセージがある場合は、個別のメッセージに分けて、その間の論理上の関係を考えることが必要となる。
- 文章を繋げる際に悩んだ場合は、主語+述語の単位で短い文に区切り、文と文同士を丁寧に繋いでいくと読みやすい文章になる
原則2:ピラミッド構造であること(基本的な考え方は演繹と帰納)
- 論理は一文だけでは成り立たず、構造を持っている。つまり、ある命題(メッセージ)が正しいことを証明するためには、それを支える2つ以上のサポーティングメッセージが必要である。
- ピラミッド構造となる由縁は、そのサポーティングメッセージが正しいことを証明するためには、さらにそのメッセージをサポートする2つ以上のメッセージが必要となるため、必然的に下部が大きく、上部が小さい「ピラミッド型」の構造となる、一つのメッセージが正しいことを証明するためには、それを支える複数の下部のメッセージが必要となる。
演繹法:前提となる正しい情報(一般論)から個別の課題についての結論を導く手法(一般論→個別論)
私たちが日常用いている思考過程は演繹的方法であることが多い。なぜなら、私たちの日常の思考は、個人の経験や社会を通じて与えられる「何らかの前提となる情報」に基づいている場合が多いからである。
別名「三段論法」とも呼ばれている。
よくある事例:
(一般論・大前提)人間はいつか必ず死ぬ
(個別論・小前提)ソクラテスは人間である
(個別論・結論)従って、ソクラテスは必ず死ぬ
帰納法:複数の個別の事象から、より上位の(抽象度の高い)一般論を導く(個別論→一般論)
私たちがある事象に接した場合、ゼロベースから思考する過程は全て帰納である、
よくある事例:
(個別論・事実)ソクラテスが死んだ
(個別論・事実)○○が死んだ
(個別論・事実)○○が死んだ
(一般法則・結論)従って、人間は必ず死ぬ
科学の法則の背後には帰納が存在するケースが多い。
事例:
水が100℃で沸騰する(多くの実験の積み重ねにより証明)
原則3:上位メッセージを支える下部構造に抜けや歪みがないこと(MECE)
MECEとは「Mutually(お互いに)」「Exclusive(排他的で)」「Collectively(集めると)」「Exhaustive(全体をつくす)」の略であり、「抜けが無く重複がないこと」である。
MECEにするためには、帰納法の考え方(複数の個別の事象から考える手法)を援用するとよく、以下の4つの方法がある。
①足し算、引き算(合計の世界)で考える
例えば「売上」を事例にした場合、売上を地域ごとや事業ごとなどに分解し、金額が小さい、影響力があまりないものなどはその他地域やその他事業として括ると良い。なお、その他は全体から差し引いたものとも解釈できる。個別の事象の合計の和が一致すればMECEであると言える。
②要素の掛け算(要素の世界)で考える
例えば「売上」を要素分解し、店舗数×一店舗あたりの売上で考え、仮に店舗以外の売上があれば、その他売上として計上することでMECEとすることができる。
③軸を考える(視点の世界)
数学のX軸、Y軸の組合せを活用することでもMECEとすることが可能である。X軸に価格、Y軸に糖度などを置くケースなどが考えられる。
④枠組(フレームワーク)を適用する
外部条件、内部条件、などを活用する事例でもMECEが可能である。
原則4:抽象のレベルが揃っていること
主たるメッセージとそれをサポートする下位のサブ・メッセージの間で抽象のレベルの整合性がとれていなければならない。
論理のピラミッドは下位に行くほど具体的・部分的・個性的、上位にいくほど抽象的、包括的・総合的になっている。
原則5:最下部が事実またはそれに近い蓋然性の高いメッセージであること
ピラミッド構造の土台(一番下)となっているメッセージは事実または蓋然性の高い仮定であることが必要である。最下部がしっかりとしていることは論理のピラミッドにとって決定的に大切なことであり、もしこの最下部がぐらつくといかに上位の論理が緻密にできていても全体が崩壊する。
まとめ
以上が論理の5原則の概要の説明となります。
社内共有の情報のマニュアル化や規程等の策定の際に、文章がまとまらない、様々な解釈が出来てしまうなど、の問題が生じた際には、一旦立ち止まって本記事で紹介させて頂いた論理の5原則に立ち返ってマニュアルや規程等の作成に臨むのも有効かもしれません。
本記事が少しでも皆さまの業務効率化などのお役に立てると嬉しいです。
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少しでも気になった方はぜひGROWI.cloudのサイトも訪問頂けると幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。引き続き宜しくお願いします。