オンプレミスとクラウドの違いは?それぞれのメリット・デメリット、比較する際のポイントを詳しく解説します!
ツールの導入を検討する際などに、「オンプレミス」や「クラウド」などの言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
オンプレミスとクラウドにはそれぞれのメリット・デメリットがあるため、どっちが絶対良い・悪いというわけではなく、導入する人それぞれによって最適な選択が異なります。
今回の記事では、「オンプレミス」と「クラウド」がそもそもどういう意味なのか? から解説していき、それぞれのメリット・デメリット、ツールを導入する際にどちらを選んだら良いのかなどを詳しく解説していきますよ。
Contents
オンプレミスとは?クラウドとは?をざっくりと解説
ではまずオンプレミスとクラウド、両方の意味を簡単に確認していきましょう。
オンプレミスとは?
ではまず初めにオンプレミスについて解説していきますね。
オンプレミス(on-premise)とは、情報システムの運用方式の一つであり、自社が管理する設備内にサーバやソフトウェアを設置し、運用することを指します。
略称として「オンプレ」と呼ばれたり、また別の言い方として「自社運用型」などとも呼ばれています。
“自社が管理する"と書きましたが、必ずしもサーバやソフトウェアが物理的に社内に設置されている必要はありません。
例えば、社外にあるデータセンターを利用して、サーバやネットワーク機器を設置する運用でもオンプレミスと言えます。
クラウドとは?
続いて、クラウドについて解説していきますね。
クラウド(cloud)とは、オンプレミスと同様に情報システムの運用方式の1つであり、クラウドサービスのベンダー(提供者)が管理しているサーバやソフトウェアを、インターネットを経由して利用することを指します。
注意ですが、実は「クラウド」は略称であり、本来の呼び方はクラウドコンピューティング(Cloud Computing)であることも知っておくと良いでしょう。
より広く使われている呼び方が「クラウド」なので、この記事の中ではクラウドと表記することにしています。
以下の図で簡単にオンプレミスとクラウドの違いを表現したので、ぜひ参考にしてみてください。
ホスティングやハウジングとの違いは?
オンプレミスとクラウドの話をしたときについで触れておきたいのが、ホスティングとハウジング。
せっかくなので簡単に説明しておきましょう。
ホスティングとは、ベンダーがデータセンター内で運用しているサーバをインターネット経由で利用するサービスのこと。
サーバの種類はベンダーによって異なっており、例えばメールサーバやWebサーバなどがあります。
それぞれ目的によって選びわけると良いでしょう。
ハウジングとは、ベンダーのデータセンター内に自前のサーバを設置して運用すること。
ホスティングとの違いは、サーバが自前のものであるか、ベンダーが用意したものであるかどうかです。
自身が必要としている分の区画だけを借りて運用できる分、ハウジングよりもコストが低く抑えられるのが特徴です。
クラウドが生まれた背景、オンプレミスの歴史
クラウドはオンプレミスの後発の運用形態ですが、なぜクラウドが誕生したか、気になりますよね。
ここではクラウドが生まれた背景やオンプレミスの歴史について深掘って行きます。
実は「オンプレミス」という言葉は存在しなかった
もともと、企業がシステムを運用をする方法はオンプレミスだけしかなく、わざわざ「オンプレミス」と呼ぶ必要がありませんでした。
オンプレミスという言葉が誕生したのは、クラウドが誕生した後。
両者を区別するために、名前を付ける必要があったんですね。
2000年代になってからクラウドが誕生
オンプレミスが主流だった時代、企業はシステムの運用に莫大なコストを掛けざるを得ませんでした。
なぜならオンプレミス型の運用は、サーバの構築やシステム開発などを全て自社で行わなければいけないからです。
なので当時は、情報システムのノウハウを持っている人材がいる企業でしかシステムを利用することができなかったのです。
ところが、2000年代に入るとクラウドが登場します。
今まで限られた企業でしか利用できなかったシステムが、クラウドの誕生によってさまざまな企業に利用されるようになりました。
現代の動向:クラウドリフトとオンプレ回帰
総務省が発表しているクラウドサービス市場の動向 によると、日本のクラウドサービス市場は拡大傾向にあります。
日本のパブリッククラウドサービス市場は、2021年は1兆5,879億円(前年比28.5%増)となっており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機としたオフィスの移転・縮小に伴うクラウドへの移行やDX(デジタル・トランスフォーメーション)、データ駆動型ビジネスを進めるためにクラウドを活用したICT基盤の強化が進むことなどによって今後も拡大が予想される。
もともと何も利用していなかった状態から初めてクラウドを利用するようになったケースもあるでしょうし、オンプレミスを利用していたけどクラウドに移行した=クラウドリフトしたケースもあるでしょうが、とりあえず言えるのは、クラウドを利用する企業は増えていっているということです。
逆に、オンプレミスに戻る=オンプレ回帰 している企業も少なからず見受けられます。
IT系ニュースサイトInfoWorldは、1月3日、「2023年は脱クラウドの年になるかもしれない」と題した記事を掲載。
マルチクラウド管理ソリューションを提供する米Virtanaが2020年11月に実施した、米国および英国の企業350社を対象とした アンケート調査結果 によると、
「アプリケーションをパブリッククラウドに移行した後で、それを再びオンプレミスに戻した経験があるか」
という質問に対し、72%がYESと答えたいいます。
「オンプレは時代遅れだ」と言われている中、この数字には驚きを隠せませんね。
以上を鑑みると、現在の動向としては、新しくクラウドを利用する人は増えている反面、再度オンプレミスに戻っている人もいる、ということが言えるでしょう。
オンプレミスにするべきかクラウドにするべきかを検討しているという方は、この後すぐ、それぞれのメリット・デメリットを解説していくのでぜひご覧くださいね。
オンプレミスのメリット・デメリット
では、まずはオンプレミスのメリット・デメリットから見ていきましょう。
オンプレミスのメリット
自社システムとの連携が比較的簡単
オンプレミスは、既存の自社システムとの連携が手軽にできます。
クラウドの場合、外部サービスとの連携は可能であっても、ユーザーが自社内で使用しているシステムとの連携が難しいことがあります。
一方、オンプレミスの場合は利用するサーバも自社の設備となるため、自社システムとの連携が比較的簡単です。
そのため、自社システムで作成、管理しているデータを利用したい場合には大きなメリットでしょう。
セキュリティ面が安心
自社の大切な情報や機密データなど、セキュリティが求められるデータもオンプレミスなら自社ですべて管理 できます。
データが外部に流出してしまう可能性もあるクラウド型に比べ、オンプレミスは外部からのアクセスを制限できるためセキュリティが高いといえます。
オフラインでも利用可能
オンプレミスなら外部から遮断されたかたちでネットワークの構築が可能なため、オフラインでも使用できます。
インターネット環境がないと利用できないクラウド型と比べて、環境を選ばずに使えるのもオンプレミスの メリットです。
自由にカスタマイズできる
オンプレミスの場合、自社内で構築するため自由にカスタマイズすることが可能です。
クラウドの場合、すぐに利用できるメリットはあるものの、基本的に決まった形式での提供になるため、構築の自由度は高くありません。
一方、オンプレミスは自社内で最適化されたシステムを構築できるため、ユーザーごとの環境や社内ルールなどに合わせて「こういう機能がほしい」という希望にも柔軟に対応できるというメリットがあります。
自社独自のセキュリティポリシーに適合できる
オンプレミスの場合、自社のセキュリティポリシーに合わせて設定できます。
クラウドの場合、最初からベンダーがセキュリティ対策しているため、ユーザー自身はセキュリティ対策を行う必要がありませんが、自社のセキュリティポリシーに適合しないと利用できないケースもあるでしょう。
一方、オンプレミスであればユーザーごとの細かいセキュリティ設定も可能になるため、自社のセキュリティ ポリシーに則った運用ができます。
オンプレミスのデメリット
コストが大きくなってしまう
オンプレミスはシステムを運用するのに必要な設備を全て自社で担当しなくてはいけません。
サーバやソフトウェアを自前で用意するわけですから、初期費用は当然大きくなりますし、導入を開始した後の運用保守のコストもかさみます。
また、情報システムに関する高度なノウハウをもった人材が社内にいなければできないため、もし社内にそのような人材がいないとすれば、さらに人件費をかけて雇用する必要がありますね。
拡張性が低い
CPUやメモリ、ストレージなどをさらに増強したいとなった際、それらの機材を自身で調達する必要があります。
良く言えばカスタマイズ性が高いと捉えることもできますが、拡張を完了させるまでにかかる時間が長くなってしまうのは、大きなデメリットと言えるでしょう。
災害時の対策ができない
災害が発生した際、システムを運用している設備が物理的な影響を受けて故障してしまう可能性があります。
例えば、3.11 のような巨大な津波が押し寄せたとして、自社が保有しているデータセンターが浸水してしまったとしたら、それは壊滅的な被害になってしまいますよね。
確かに、クラウドであってもベンダーの設備が被害を受けてしまう可能性はありますが、クラウドの設備は他の場所に分散されている、つまり冗長化されている場合が多いので、オンプレミスよりもリスクを分散できていると言えます。
クラウドのメリット・デメリット
では、次はクラウドのメリットとデメリットについてです。
クラウドのメリット
導入が簡単でスムーズに利用開始できる
クラウドは、導入が簡単でスムーズに利用を開始することができます。アカウントを発行して初期設定が完了 すれば、すぐに利用開始できることもあります。
さらに、端末は社内のパソコンだけではなく、スマートフォンや社外のパソコンからもアクセス可能です。 データを移動する手間が省けるため、データのコピーや、USBメモリーの使用も不要です。サーバメンテナンスも不要なため、管理面においてもスムーズです。
アクセスが簡単
インターネット接続さえできれば、場所を選ばず使用できます。そのため、リモートワーク環境で多く利用されます。
費用が安い
クラウドは、サーバ環境に必要なシステムを購入する必要がないため、初期費用を安く抑えられます。
サーバの管理費がかからないため、維持費や管理費にかかるコストを削減できます。また、クラウドの料金 体系は、利用した分だけ課金される「従量制」なので、使用量が少ない場合はコスト削減に繋がります。
拡張性が高い
クラウドはWeb上で設定変更ができるため、利用するサーバの数を増やすという環境に応じた変更も可能です。
たとえば、1つのサイトに集中的にアクセス数が増加しサイトに負荷がかかった場合でも、一時的にサーバの スペックを向上させ、サーバが重くなることを回避できます。拡張性が高いこともクラウドのメリットです。
費用を安く抑えることができる
クラウドは、オンプレミスのようなサーバ環境に必要なシステムを購入する必要がないため、初期費用を安く抑えられます。
また、クラウドの料金体系は、利用した分だけ課金される「従量制」となっているため、使用量が少ない場合はコスト削減に繋がります。サーバの管理費もかからないため、管理費や維持費におけるコストを削減することができます。
クラウドのデメリット
セキュリティがオンプレミスほど高くない
クラウドのデメリットの一つ目は、セキュリティがオンプレミスほど高くないということです。
オンプレミスは、外部とのアクセスを持たずに完全に自社内で完結できますが、クラウドはインターネットを経由して外部と連携することで初めてサービスを利用する事ができます。
その際、通信を誰かに傍受されてしまうなどのリスクがどうしても発生してしまうのです。
ですが、ベンダーによっては高いセキュリティを担保しているところも。
なので、クラウドサービス全般のセキュリティが低いと言ってしまうのは正しくなく、セキュリティの高さはベンダーによりけりといったところですね。
カスタマイズ性が低い
これもオンプレミスと比べるとどうしても劣ってしまうところ。
クラウドはベンダーがある程度形を整えたものなので、ユーザーが後から自分の好みに合わせて細かくカスタマイズすることはできません。
ですが、まったくできないというわけではななく、ある程度の余地を残してくれているものが多いです。
従量課金で費用がかさんでしまう可能性がある
全てのクラウドサービスに言えるわけではありませんが、クラウドサービスの大半は従量課金制です。
そのため、利用人数が多い組織だと料金が高額になってしまう可能性があります。
弊社のクラウド型ナレッジベース GROWI.cloud はクラウドサービスには珍しい月額固定制の料金。
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オンプレミス製品とクラウド製品を比較する際のポイント
ここまでオンプレミスとクラウド両方のメリット・デメリットについて解説しましたが、「結局どっちがいいの?」となってしまう方もいらっしゃるかと思います。
オンプレミスとクラウドは、どちらかが絶対に良いということはなく、利用する目的やご自身の状況に合わせて選ぶのが良いでしょう。
ここでは、オンプレミスとクラウドを比較する際のポイントについて解説していきますよ。
カスタマイズのしやすさ
オンプレミスは、ハードウェアからソフトウェアまで自社内で確保することができるため、自社で使用しているほかのシステムとも連携でき、システムを柔軟にカスタマイズができます。
自社の特性に合わせて、システムをカスタマイズしたい場合はオンプレミスがおすすめです。
最近ではクラウドでもさまざまな機能を利用できますが、提供されるサービスによってほかのシステムとの連携が難しい場合があります。
ネットワークパフォーマンスの高さ
オンプレミスは自社のみで利用するため、外部からの影響を受けることが少なく、ネットワークパフォーマンスが高いといえるでしょう。
クラウドではインターネット環境がなければ使用できず、環境に制限を受けます。インターネット環境が何かしらの影響を受けて遮断されると、クラウドを使用できなくなります。
また、日常的に使用量が多いとネットワーク回線に負荷がかかり、全体の通信速度が遅くなってしまうかもしれません。
セキュリティの安全性
オンプレミスは、自社のシステムを利用して運用するため、オンプレミスのサーバ利用者は自社内に限定されます。
社内ネットワークでの利用は外部からアクセスを受けにくく、機密情報や個人情報などの重要なデータを扱う 場合でもセキュリティの安全性を確保できます。
自社独自のセキュリティ対策も可能です。
一方で、クラウドではデータの送受信がインターネットを経由するため、セキュリティ面ではリスクがあります。
社外に出せない機密情報を扱う企業には、オンプレミスをおすすめします。
初期費用と管理費を抑えたいなら
オンプレミスではすべてのソフトウェアと機材を自社で用意しなければならないため、初期費用が高くなってしまいがちなことがデメリットといえます。
一方、クラウドではサーバ環境に必要なシステムを購入する必要はなく、利用した分だけ課金される料金体系のため、初期費用を安く抑えることが可能です。
また、オンプレミスではサーバルームの管理費や人件費といったランニングコストが必要になりますが、クラウドではサービスベンダーによって運用・管理するため、システム管理にかかる人件費を抑えられます。
ただ、ストレージ容量やセキュリティオプションなど、利用内容によってはコストが高くなるかもしれません。
アクセスのしやすさ
すぐにシステムを構築したいと考えているなら、契約後すぐに利用できるクラウドがおすすめです。
また、インターネット環境があれば、簡単にアクセスできるのも魅力です。
社内外のパソコンやスマートフォンからアクセスできるため、テレワークを導入している企業にはおすすめです。
クラウド上で業務に必要なデータ資料を保存しておけば簡単に社内で共有できます。
オンプレミスの場合、外部からアクセスする場合は機材が必要になり、保管するためのスペースも確保しなければなりません。
オンプレミスもクラウドも専門知識が必要とされる
オンプレミスでは構築から運用まですべて自社で担うため、専門知識やノウハウがある人材を確保する必要があります。
また、クラウドでもベンダーごとに仕様が異なり、提供されるサービスごとに精通した技術と専門知識が必要です。
自社に適したシステムをきちんと見極め、専門知識やノウハウをもつ人材を確保しましょう。
オンプレミスとクラウドのハイブリッド
ハイブリッドクラウドは、オンプレミスとクラウドを組み合わせた運用形態のことです。
ハイブリッドクラウドは、オンプレミスの強固なセキュリティとクラウドのもつ低価格性の両方を持ち併せたシステムで、近年注目を集めています。
オンプレミスとクラウド両方のメリットを活かしたシステムを利用したい企業におすすめです。
オンプレミス型サービスの事例をご紹介
実際にオンプレミス型を導入した企業の事例を紹介します。
オンプレミス型を採用する多くの企業で、クラウドで予想外にかかったコストの削減や高いセキュリティ レベル、自社システムとの連携など多くのメリットがもたらされています。
A社
企業独自のスタイルをカスタマイズしたオンプレミス型運用は、情報共有・交換の面で非常に実益性があります。さらにセキュリティ面での強化が図れるため、大きな企業成果をあげているのです。
A社では、オンプレミスの導入によって海外に拠点を置く本部と営業拠点の間で情報共有のスピード向上、セキュリティ対策が充実したネットワークを確立しました。
B社
B社ではオンプレミス型による情報共有システムを採用したことにより、情報セキュリティ対策が充実し、日常業務におけるオーバーワークの軽減につながりました。
オンプレミスは外部から遮断された状態でシステムを構築するため、外部からの影響を受けることが少なく、高いネットワークパフォーマンスが期待できます。
C社
自動車部品開発・製造を担うC社では、オンプレミス型での情報共有システムを採用したことにより、情報の一元化をスムーズに行うことが可能になりました。
オンプレミスは、外部からアクセスを受けにくいため、機密情報や個人情報などの重要なデータを扱う場合でもセキュリティの安全性を確保できます。
オンプレミスかクラウドか、どちらがいいかは人によりけり
オンプレミスは、自社内に情報システムを保有しサーバを運用する形態です。
クラウドは、IT機器を自社で保有せず、ベンダーから提供されるサービスからシステムを構築する携帯です。
オンプレミスとクラウドの違いは、コストやセキュリティ、運用方法などさまざまありますが、どちらもメリットやデメリットがあるため、両者の特徴をよく知り自社に合ったシステムを見極めることが大切。
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