社内ポータルサイトとは? うまく使いこなす方法を事例と共にご紹介!

2023-07-27

社内ポータルサイトとは

社内ポータルサイトとは、社内のあらゆる情報にアクセスできる、企業専用のWebサイトを指します。

一般に代表的なポータルサイトとしては、Yahoo! JAPAN があります。Yahoo! JAPANのトップページには、ニュースや天気などの様々な情報が掲載されています。

社内ポータルサイトは、一般的なポータルサイトと「情報を閲覧可能なユーザー」と「使用できる機能」に違いがあります。

分かりやすくまとめると表のようになります。

種類情報の公開範囲主な用途機能
社内ポータルサイト社員のみ情報の一元管理ビジネス向け機能が豊富(○○など)
一般的なポータルサイト不特定多数情報の検索検索機能のみ
社内ポータルサイトと一般的なポータルサイトの違い

社内ポータルサイトとその他社内情報共有ツールの違い

社内ポータルサイトと似たツールとして、グループウェアや社内掲示板、社内SNSなどがあります。社内ポータルサイトは情報を一元管理し社内に共有する役割を第一に持ちますが、これらのツールは目的が異なります。

名称サービス例目的
社内ポータルWordPress様々な情報やアプリケーションへの「入口」を集約
社内SNSTeams社内コミュニケーションや情報共有
社内掲示板GROWI.cloud、NotePMナレッジの蓄積
グループウェアGaroon、kintoneスケジュール管理、ワークフロー機能、ドキュメント共有等の業務効率化
社内ポータルサイトとその他社内情報共有ツールの違い
  • 社内SNS

TwitterやFacebookのようなSNSサービスを社内限定で利用できるツール。社内でのコミュニケーションの活性化が主な目的である点が社内ポータルサイトとは異なります。

  • 社内掲示板

社内で従業員が自由に利用できるインターネット掲示板。広く情報を周知することを主な目的としています。

昨今では、社内掲示板を単独で設置するのではなく、社内ポータルサイトへの組み込みによって代用するケースが増加しています。そのため、社内掲示板は社内ポータルと異なるサービスではなく、連携を行う機能だと言えます。

  • グループウェア

グループウェアとは、Web会議や勤怠管理、タスク管理など、さまざまな機能を利用できるツールです。業務効率化を主な目的としている点が社内ポータルサイトとは異なります。

社内ポータルサイトの主な機能

ここでは、社内ポータルサイトの主な機能を3つご紹介します。

Q&A機能

Q&A機能は、よくある質問とその答えを事前に記載しておくシステムです。

社内ポータルサイトのQ&A機能を利用して、業務上の質問と回答を1か所に集約すると、社員自身で疑問を解決できる環境が構築されます。

結果として、担当者は複数の社員からの同一の質問に答える必要がなくなり、無駄な作業にかかっていたリソースを減らすことが可能です。また、回答は常にページ上で確認できるので、伝達する情報の抜け漏れを防止する効果も見込めます。

Q&A機能は社内ポータルサイトでのナレッジ・ノウハウ共有機能やコミュニケーション機能とも親和性が高く、ポータル内で併用することで相乗効果を発揮して業務効率化に大きく寄与してくれます。

コミュニケーション機能

コミュニケーション機能を用いることで、個人間、または複数人でのグループで円滑にコミュニケーションができるようになります。これにより、経営層と社員など、普段接点がない方々が触れ合うことが可能になります。

また、チャット形式という慣れ親しんだ方法で、気軽にやりとりができるようになるため、自然と活発なコミュニケーションが生まれることが期待できるでしょう。

わざわざ口頭やメールで伝えるまでもないと思うような些細な話題や小さな気付きも、社内ポータルサイトのコミュニケーション機能を使うことで積極的に共有していく姿勢を身に着けていくこともできます。

申請機能

いわゆる「ワークフロー」と呼ばれるもので、グループウェアに搭載されていることもあります。各種申請手続きをオンラインで行うことで、ペーパーレス化をもっとも効果的に推進できる部分です。申請処理も紙ベースで行うより迅速に進み、社内の問い合わせ対応の工数も削減できます。

申請機能としては、以下のようなものが考えられます。

  • 勤怠管理機能
  • ワークフロー申請機能

例えば社内ポータルにログイン・ログアウトの時間を記録すれば、勤怠管理を行えます。リモートワークでタイムカードが押せない環境では、大いに役立ちます。また経費や交通費の精算、稟議など各種申請を社内ポータルサイト上で行えば、決裁が滞っている場合にはどこで止まっているのかも一目瞭然です。処理を促すことで、決裁もスムーズに進みます。

社内ポータルサイトの便利機能

ここでは、社内ポータルサイトの便利な機能を2つご紹介します。

社内wiki機能

社内wikiは、社内で情報を蓄積して運用する機能です。

たとえば、業務マニュアルや作業手順書など、業務を進めるうえで参照する資料を社内wikiとして保存しておけば、ほかの部署の社員であっても検索するだけですぐに該当情報を得られます。

これにより、業務引継などが効率的に進められるようになります。

また、共同で編集できる機能が備わっていると議事録作成の場合等にとても便利です。

掲示板機能

掲示板機能では、社員に周知したい情報を簡単に共有することができます。

たとえば、会議などによる対面のコミュニケーションをとるのが困難な場合でも、議論や意見交換・ノウハウの共有を掲示板上で行えます。

成功事例

これから社内ポータルサイトを導入しようと検討している方は、実際の事例を参考にしましょう。さまざまな気付きを得られます。ここでは、社内ポータルサイトを効果的に構築した企業の事例を3つ紹介します。

総務省

総務省では、近年省内で扱う情報量の増大から既存のポータルサイトでは一元管理を行うことができず、豊富な情報を有効活用することや効率的な業務を行うことが難しくなっていました。このような状況を解決するため、新しい社内ポータルサイトを再構築しました。

社内ポータルサイトをうまく活用することで、無駄なリソースを省きつつ全職員が共有すべき省内情報、部局内情報、システム情報から諸手続きまでをポータル上に一元化。分かりやすさやデザイン性に優れたUIを採用することで、利便性や操作性も重視した再構築を行いました。

新ポータルサイトのリリース後は、情報共有が効率化され、省内に存在する膨大な情報を業務に有効活用できる状況が実現しました。

三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社

三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社では、情報が散在し求めている情報にすぐにアクセスできない状態でした。このような状態を解決するため、散在していたデータを整理し全ての情報に社内ポータルサイトからアクセスできるようにしました。

これにより、同社の社員は出社と同時にポータルサイトを立ち上げるようになりました。メールチェック、経費処理、社内決済など様々な業務の入り口になるため、社内ポータルサイトは情報集約の点で極めて優れています。

同社はこの社内ポータルサイトの運用によって、社内規定・手続きに関する問い合わせなど、管理部門の問い合わせ工数の大幅な削減を実現しました。

とみおかグループ

とみおかグループは、クリーニング店・コインランドリーを展開する企業です。

同社では、本社と店舗のスタッフが同じ目標を持って仕事できていないという課題がありました。このような状態を解決するため、社内ポータルサイトを導入し、社内報や企業理念・マニュアルの共有を進めました。

これにより、各店舗で異なっていた接客の方法が統一され、サービスの質の向上を達成しました。また、社内コミュニケーションの活性化にもつながり、本社と店舗の垣根を超えたコミュニケーションが実現しました。

社内ポータルサイト導入時の流れ

社内ポータルサイトを導入する際は、次の4つの流れで行いましょう。

  1. 運用責任者を決める
  2. 社内ポータルサイトの構築目的を明確にする
  3. 要件に合わせてシステムを導入する
  4. 定着させる

1. 運用責任者を決める

社内ポータルサイトが効果を発揮するためには、目指すべきゴール(理想の状態)の設定を行い、必要な機能・コンテンツの充足を行い繰り返し改善を重ねることが重要です。

漠然と運用していたのではなかなか成果に結びつかないため、社内ポータルサイトを運用する際には明確な運用・管理責任者を決めておくことがポイントです。

責任者がサイトのパフォーマンスに責任を持ち従業員の反応も加味しつつリーダーシップを発揮することで、社内ポータルサイトの有用性・効果性を着実かつスムーズに向上させていくことができます。

2. 社内ポータルサイトの構築目的を明確にする

社内ポータルを導入する際は、導入・構築の目的を明確化しておくことが非常に重要です。

社内ポータルでどのような課題を解決したいのか、どのような理想の状態を実現したいのかを明確にしておくことで、有用性の高い社内ポータルを構築することができます。

反対に、目的が曖昧なまま導入を進めてしまうと、何をどのように活用するかが不明瞭な社内ポータルができあがってしまい、業務に役立てることも難しくなってしまいます。

社内ポータルは情報共有や業務効率の向上により業務上の課題を解決するために導入するものです。目的の明確化は必ず行いましょう。

3. 要件に合わせてシステムを導入する

導入目的が決まったら、必要な機能を絞り込み、導入するツールを選びましょう。

社内ポータルを導入する方法には、次の2つがあります。

  • SaaSを利用する方法
  • 自分で作る方法

それぞれメリットとデメリットが異なるため、利用目的にあった方法を選択すると良いです。

SaaSを利用する方法

SaaSは、Stockやkintoneのようにサービス運用会社が提供しているソフトウェアです。完成された商品を契約後すぐに利用できるため、導入コストが低く、システムに疎い場合でも導入しやすいメリットがあります。

最近では使いやすく安価なサービスも多いため、特別な理由がなければSaaSを利用することをおすすめします。

自分で作る方法

自社専用システムを構築する場合、次の2つの方法があります。

  1. WordPressやSharepointのフォーマットを活用する方法
  2. ゼロベースでシステムを構築する方法

WordPressやSharepointでは、社内ポータル構築用のテンプレートが用意されており、これを利用することで社内ポータルサイトの作成に応用できます。サーバーの契約や社内ポータルの運用は、自ら行わなければなりませんが、SaaSより安価にシステムを導入できるメリットがあります。

一方デメリットとして、WordPressやSharepointは、自由度に限りがあります。完全オーダーメイドでシステムを構築したい場合は、ゼロベースでシステムを構築しましょう。

いずれの方法で自作する場合もサーバー代や運用費が必要です。そのため、どうしてもオーダーメイドで開発したい場合を除き、SaaSを利用するほうがよいでしょう。

4. 定着させる

ツールを導入したらツールの使用が定着するようにフォローアップを行いましょう。

とくに大切なのは、次の2つのポイントです。

  • UIを重視する
  • ルールを設定する

UIを重視する

社内ポータルサイトは、社内の誰もが利用するため、ITリテラシーの高低に関わらず、社内の誰もがスムーズに利用できるUIを設計することが重要です。

いくら役立つ情報を多数蓄積・共有していても、分かりにくく使いにくい社内ポータルサイトは利用されません。

そのため、UIの設計には徹底的にこだわり、改善を繰り返すことが重要です。

ルールを設定する

社内ポータルサイト導入時には、利用に関するルールを設けましょう。具体的には、次の4つのルールを決めておくと効果的です。

  1. 社内ポータルサイトの確認タイミング
  2. 社内ポータルサイトに乗せるべき情報と載せない情報
  3. 社内ポータルサイトの更新タイミング
  4. 社内ポータルサイト更新のフロー

とくに情報共有を促進させたい場合、積極的に社員に投稿してもらう必要があります。しかしこれらのルールが整っていなければ、自分の情報に価値があるのか判断できなかったり、更新の手間によって断念したり、利用が促進されません。

そのため明確でわかりやすいルールを事前に設定し、必要なタイミングで社内ポータルを使うような仕組みを作ることが重要です。

運用の際に気を付けること

社内ポータルサイトを導入してもうまく運用することが出来ず、失敗に至ってしまうケースも少なくありません。ここでは、失敗を防ぐために運用の際に気を付けることを解説します。

情報を定期的に更新する

社内ポータルサイトを導入しても更新率が悪いと、社員に閲覧する必要がないと判断されてしまいます。

さらに、掲載された情報と現状に乖離がある場合、作業ミスが発生する可能性もあります。

運用責任者を設けることや明確なルールを設定することで、社内ポータルサイトには、常に最新情報を載せることを心掛けましょう。

セキュリティ対策

社内ポータルサイトを運用する際には、セキュリティ対策が十分かの確認が大切です。

社内ポータルサイトには社内のあらゆる情報が保存されるため、仮に情報漏洩が起きた際、その損害ははかりしれません。

したがって、指定IPアドレスかのみのアクセスに限定することや、社外からの利用を制限するといった工夫が必要です。適切なセキュリティ対策を行い、社外への譲歩不漏洩を徹底的に防止しましょう。

おすすめの社内ポータルサイト4選

ここからは、おすすめの社内ポータルサイトをご紹介します。それぞれの社内ポータルサイトが持っている特徴を理解し、組織に合った社内ポータルサイトを導入することが効果的です。

ツール名強み(特徴)料金
GROWI.cloud社内情報管理15,000/月(75名まで)
Garoon社内コミュニケーション活性化月額845円/1ユーザー
kintone業務効率化月額1500円/1ユーザー
WordPressテンプレートが豊富無料
おすすめ社内ポータルサイト比較表

GROWI.cloud

GROWI.cloud (グローウィクラウド)は、WESEEKの社内情報管理ツールです。

社外と情報を共有する際の情報セキュリティがとても高く、多くの他社企業とプロジェクトを行うことが安心して出来るのが強みです。

また、「システムエンジニアの自分たちが使いやすい社内wiki」をコンセプトに作成されたツールであり、マークダウンという書式で書くこと等が可能であるため、エンジニアの方に特におすすめのツールとなっています。

さらに、ユーザーが増えても月額料金は変わらない点もGROWI.cloudの大きな強みです。

Garoon

Garoon(ガルーン)は、サイボウズの中・大規模組織向けグループウェアです。スケジュールや掲示板、ワークフローなど情報共有に必要な機能がそろっていて、個人・部署・プロジェクト間を縦断しても不自由なく利用できるのが強みです。

部署間のやりとりに便利なスペース(電子会議室)機能や、社内用のメッセージ機能により、社内のコミュニケーションを円滑にします。また、社内ポータルを簡単に作成でき、個人あての通知と企業全体の情報を同時に確認可能です。

kintone

kintoneは、サイボウズが手がけるクラウドサービスです。kintoneの最大の特徴は、「コミュニケーションツール」「業務システム」の両機能を兼ね備えていることです。

kintoneは、業務内容に合わせて、タスク管理や案件管理のためのシステムを「アプリ」として簡単に作成可能です。タスクや案件ごとにコミュニケーションを取れるため、後からやり取りの情報を探す時間も削減できます。

また、社外のメンバーを「ゲストユーザー」として招待することで、kintoneでやり取りできる「ゲストスペース機能」もあります。そのため、メールや別のコミュニケーションツールを併用する必要がなくなり、情報を一元化できます。

WordPress

WordPressは、ブログ用のCMSとして圧倒的な世界シェアを誇り、その完成度の高さから愛用者の多いオープンソースCMSです。ソースコードが無償のほか、無料で利用できるプラグインも多いことから、導入コストを抑えられます。

社内ポータルサイトで生産性を向上させよう

「社内ポータルサイトなんてあってもなくても大して変わらない」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、社員全員が毎日行う業務を1つのツールで管理できることのメリットは計り知れないです。

自社の課題や理想の状態を明確にし、目的に合った社内ポータルサイトを導入することで社内全体の生産性を向上させましょう。