社内wiki導入のメリットとは?役割や注意点も併わせて徹底解説

情報の一元管理や業務効率化を目的に社内wikiの導入が注目されています。社内wikiには、具体的にどのような役割やメリットがあり、導入する際にはどんなことに注意するべきかをご紹介します。社内wikiの導入を検討している方は是非参考にしてください。
Contents
社内wikiの役割とは
「社内wiki」とは、業務効率化や質の向上を目的とした社内ツールです。会社が成長を続けていくためには、会社内の情報やナレッジを全従業員が情報共有し、それを活用しながら業務効率化とクオリティを向上していくことが必須なのは言うまでもありません。しかし、現実では多くの企業が情報やナレッジを適切に集約し、スムーズに蓄積と情報共有できる体制が整っていません。そのため、業務の非効率と質の低下を招いてしまっているのです。
社内wikiはウィキペディアの社内バージョン
ウェブを使って検索する時、一度は「ウィキペディア(Wikipedia)」を活用したことがあるのではないでしょうか。ウィキペディアは、ネットにアクセス可能な人たちによる「集合知」で運営されているウェブ上の百科事典です。集合知とは、より多くの人たちの知識が蓄積された後、それらが分析・システム化されることによって、より理解しやすくなった知識のことです。まさに、社内wikiはウィキペディアの社内バージョンで、ウィキペディアを使うように全従業員が色々な情報やナレッジを社内wikiに書き込んで集約させ、編集から検索・閲覧することによって、スムーズに知りたいことや確認したいことにアクセスすることができます。この流れが業務を効率化へと導き、社員個人の中で完結し、埋もれてしまっている貴重なナレッジもチーム全体で共有することができます。その結果、業務クオリティの向上につながります。
社内wikiはストックインフォメーション
普段業務の中で取り扱う情報の区分けとして、「フローインフォメーション(流れる情報)」と「ストックインフォメーション(貯める情報)」という見方があります。社内wikiは「ストック系インフォメーション」の管理において力を発揮します。「フローインフォメーション」とは、毎日流されていく情報=質問や相談、お知らせなどリサイクル性が低く、期限がある情報を指します。SNSのタイムラインをイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません。一方、「ストックインフォメーション」とは、貯める情報=社内マニュアルや業務手引き書、各種フォーマットなど長期的にみてリサイクルする確率が高い情報を指します。ホームページやブログなどを想像してもらえると分かりやすいです。
社内wikiが必要とされる訳
低コスト競争や人材不足、デフレの加速など、最近の過酷な経営環境において会社が成長し続けるには、マーケットの変化スピードに適切に反応し、知識(ナレッジ)を公にして経験則や暗黙知をフル活用した上で、人的リソースの最適化を達成しなければなりません。社内情報を一元管理することができる社内wikiを導入すれば多くの企業の頭を悩ませている諸問題を解決へと導き、業務効率化とクオリティ向上を実現することができます。さらに、競争力が上がり、会社を成長させ続けることができます。
社内wikiを導入するメリットとは
多くの日本企業が社内コミュニケーションの不足を問題としており、社内情報共有が円滑にできていないと言われています。HR Research Instituteが行った社内コミュニケーションに関する調査結果(2019年)によれば、73%の企業が「社内コミュニケーションに問題がある」と回答し、92%の企業が「コミュニケーションの不足が業務障壁になる」と回答しています。デジタル化の進歩によりコミュニケーション方法や情報共有ツールは増えていますが、わずか2%の企業しか「十分に情報共有できている」と答えていません。これは、深刻な問題でしょう。社内コミュニケーションを活性化し、情報共有がオープンにできるようになると次のようなメリットがあります。「会社のビジョンや事業の目的・目標を共有することによって企業文化が育つ」「業務効率化によって生産性が上がる」「社内の風通しが良くなり、社員のストレスが軽減されモチベーションを維持できて離職を避けることができる」「部署を越えた従業員同士による情報交換が横の広がりを作り個人の能力を高める」「日々変化する経営状態や市場に関する情報を把握することによって、適切に業務遂行する力を養う」など。ここで、社内wikiを導入して利用することで得られるメリットを4つ具体的に紹介していきたいと思います。
情報の統一管理
社内wikiは社内情報やナレッジを1箇所にまとめて保存と管理が可能なため、次のようなメリットがあります。
情報やナレッジを一つにまとめて蓄積・管理し有効活用できる
一般的に社内情報やノウハウについては、多くの場合、それぞれの部署が運用しているサーバーや個人PCに保存されているので、他部署の従業員にはどのような情報データが保存されているのか判断しづらく、有効に活用することが難しいです。また、個人PCに保存されている場合は、同部署内の従業員であっても、有用な情報を持っていないかを部署内の従業員に確認しなければならず、情報活用に大変時間を要します。そこで、社内wikiを導入すれば、社内wiki内で検索するだけで社内にある情報やナレッジを全社員が素早く共有できて活用することができます。
権限の付与をカスタマイズして情報共有の範囲を決め、フレキシブルな共有が可能
社内wiki内に社内情報やナレッジを集めて一括管理すると、場合によっては、その中に人事・個人情報、もしくは、新たな製品情報など一辺倒に全従業員に公開できないものが含まれるリスクが発生します。しかし、社内wikiは部署や役職地位ごとに編集や閲覧権限を変えて、アクセス権利を分けることが可能です。結果として、もし全従業員に向けた情報と総務や人事などの担当者以外には公開しない情報があっても、トラブルは生じないので一括管理のメリットを生かすことができます。
保存方法やフォーマットを統一可能なので誰もが利用することができる
日々の業務で蓄積されるデジタルデータは「Word」「Excel」「Power Point」「PDF」「HTML」などの多様なデータフォーマットが混ざり合って保存されています。そのため「Excel」で作成された情報に関連性の高い情報が「Word」や他のデータフォーマットで保存されてしまうと、検索が困難で必要な情報を見つけづらいです。社内wikiを活用すれば、情報のデータフォーマットはHTMLに一本化できて検索も容易になり、必要なときに全ての人が情報に辿り着くことができます。さらに、社内wikiは情報閲覧や検索の際に特別なアプリケーションを使用する必要がないため、全ての人が容易に社内wikiを利用することができます。
過去情報も保存場所を取ることなくセーブして活用可能
過去実施の企画・開発、営業実績などの情報やクライアント情報などには成功や失敗の事例、その他色々と貴重な資産情報が含まれているので、後々有効利用することができます。しかし、これらの情報を共有して全従業員が利用できるようにするにはペーパー文書で保存することが必要です。その際、量が多くかさばってしまい、保管場所がなくなり会社内に保存できず、一定期間後に捨てるか、探すのに困難な外部ガレージに保存することが必要になります。加えて、紙による保存情報から有用な情報を探し出すには膨大な時間がかかります。しまいには、資料を探し出せず、わざわざ一から作り直すことになりかねません。過去の情報であっても、社内wikiに保存しておけば大量なデータでも保存場所を取らず、管理や検索も容易です。
プロジェクト進行中の案件やミーティング資料を最新情報として容易に共有できる
社内wikiは、日々状況が変動する進行中業務の情報を最新情報にアップデートして、全ての人が容易に共有することができます。公開した社内wiki内部情報は、閲覧権限を持っている全員が編集できるので、新しい更新情報や誤情報がある時は容易に修正することができます。
情報やナレッジの個人化を防ぎ共有することで業務クオリティ向上
社内wikiは情報やナレッジの個人化を防止し、従業員による共有が容易にできることから社内業務クオリティ向上が可能です。
情報やナレッジ共有によって業務クオリティ向上
社内wiki内に多くの従業員が情報やナレッジを投げ込むことで、個人化されていた未共有情報やナレッジが広まり、それらを容易に利用することができます。これにより過去事例をリファレンスしたり、課題の解決策を再利用できたり、新しい考えを加えたりするなどして、効率よく業務を遂行できます。加えて、個人化されていたナレッジを他従業員が使えるようになることにより、会社全体の業務の質を底上げすることができます。
顧客満足度を上げることができる
顧客満足度を向上させるには、顧客ごとに柔軟な対応が求められます。そこで、社内wiki内に最新のクライアント情報やクライアント対応に必要なFAQ、必要用語などの情報を保存し、いつでも共有できるようにしておきます。こうすることで、対応する社員によって顧客への回答が変わることなく統一されるので、顧客満足度を低下させることはありません。迅速な対応で質の高い顧客サービス対応業務ができるので、顧客満足度を向上させることができます。
業務効率化
社内wiki内で情報やナレッジを一括管理することで、情報を見つける時間を大きく削減できます。また、情報やナレッジを有効活用することで、二度手間を大幅に減らせるため、業務を効率化することができます。
情報を見ればわかることに費やす時間を削減
社内wiki内を検索することで、保存情報やナレッジを迅速にリファレンスすることができます。その結果、類似資料を探したり、情報を知っているかもしれない従業員に質問したりする時間を、なくすことができます。質問を受けた従業員も、社内wikiを検索するように伝えるだけで済むので手間を省くことができます。
資料作成時間を削減
社内wiki内を検索することで、簡単に欲しい資料を探したり、過去の類似資料を参考にしたり、また再利用したりすることができます。そのほか、類似資料を一から作るという、無駄な手間を減らすことができます。
共有情報アップデートが簡単で最新版がわかりやすい
社内wikiは全ての人が容易に情報をアップデートすることができます。記事作成者でなくても、記事を新しい情報にアップデートすることができるため、情報の未更新から引き起こる誤情報による間違いや、無駄な業務作業の防止をすることができます。くわえて、社内wiki内では常に最新情報が載っており、どれが正しい情報なのか一目瞭然です。また、情報がアップデートされたことを通知できるので、更新を周知させる手間や時間も削減できます。ちなみに、必要であればアップデート情報の履歴や過去情報をアーカイブしておくことも可能です。
人材を育てる費用や業務引き継ぎ費用の削減
新入社員やキャリアアップ研修、転勤、部署異動による引き継ぎ業務には大きな費用がかかりますが、社内wikiを有効活用することで費用を削減することができます。
初期導入教育やキャリアアップ研修が簡単にできる
「従業員教育や研修の内容」、「引き継ぎ業務内容」、「社内ルールや手続き方法」などを社内wiki内に保存しておくことで、教育担当従業員の負担や引き継ぎに必要な時間を短くできるため、早期での業務スタートが可能です。
研修・教育項目が変わった場合には、すぐアップデートできる
社内wikiであれば、保存済みの内容を何回でも変更することができます。そのため、研修項目や教育の内容に変更・追加があった場合であっても、すぐにアップデートすることができます。
社内wiki内での情報共有により、業績アップが望める
社内wikiのメリットを4つ解説してきましたが、これらのメリットは、どれも業務効率化とクオリティ向上につながります。社内wikiを使えば情報の共有が容易なので、以前よりもシンプル、かつ効率的にさまざまな必要手続きや業務処理を行うことが可能です。くわえて、個人化されて有効活用されていなかった情報やナレッジも共有できるので、業務クオリティの向上も可能です。よって、社内wiki は業績アップに大きく貢献できる存在となるでしょう。
社内wikiを導入する際の注意点とは
社内wikiがあれば必要不可欠な情報や有用ナレッジを一つに集約させることができます。会社にとっては、社内wiki内に情報やナレッジを集約させることで、情報の個人化を防止することができます。また、多くの従業員が情報やナレッジを有効活用できるため、高い業務クオリティを維持することができます。くわえて、従業員はわからないことがあれば、社内wiki内を検索してリサーチしたり、いつも最新情報を共有したりすることで、効率よく業務を進行することができます。一方、多くのメリットがある社内wikiを導入しても、失敗してしまうケースがあるのはなぜでしょうか?その大きな理由として考えられるのが、社内wikiの「導入背景・狙い」と「活用方法」、この2点の不明瞭さが原因となっています。
導入背景や狙いが明確でない
社内wiki導入の狙いが周知されていないと、活用をしようという意識が従業員に生まれません。社内wikiというものは、業務を行ううえで必須な情報やナレッジを主体的に記録・蓄積させて、有用な情報やナレッジをアクティブに書き込んでいくものです。わからないことがあれば、最初に「社内wiki内を検索する」ということが習慣化されないと、その活用は推進されません。したがって社内wiki導入時には、従業員に対して「なぜ導入するのか」という「背景や狙い」の周知が必須です。社内wikiの有用性やバリューを従業員が熟知すれば、活用が進むでしょう。
活用方法が明確でない
社内wikiの「導入背景や狙い」が周知されていても、社内wikiを「どう活用するか」が明らかでないと、どれだけ便利なものであっても浸透に時間がかかるでしょう。当然ですが、すでに社内に類似システムがあるケースでは、情報の一括化が十分に実施されていないと、社内wikiを利用しようとする意識も起こりません。また、業務にとっての必須情報やナレッジを沢山所持している従業員からの記載がないと、役に立つ情報やナレッジが少ないので活用されづらくなります。そのほかにも、書き込みやアップデートの促進をしておかないと古い情報ばかりになってしまい、情報の有用性が下がってしまいます。くわえて「書き込みテンプレートがない」「ルールが明確化されていない」など活用方法が明らかでない時には、わかりづらいページばかりになってしまい、社内wikiが活用されなくなる危険性もあります。
社内wiki導入背景や狙いをはっきりと示す
社内wiki導入を成功させるためには、最初に社内wiki導入の狙いや活用法を明確にします。
社内wiki導入の背景や狙いが周知されない要因と対策
《要因》社内wikiを使用することで何がどう良くなるのか、従業員が納得していない
《対策》 社内wikiの導入前にどのような問題があって、それを社内wikiでどのように解決できるかを伝える必要があります。そのために「情報やナレッジの蓄積・共有の重要性とメリット」を経営者層や社内wiki推進者から、従業員に対して十分に説明し理解してもらいましょう。それと同時に、導入しない場合のデメリットも説明する必要があるでしょう。例えば、会社内の情報共有が不十分だと、無意味な会議や必要のない資料作成など生産性のない作業が生じる可能性を伝えておくことをおすすめします。また、会社内情報を活かしきれなければ、仕事の質を高めることができません。これらのイシューは社内wikiの活用で改善できて、従業員たちの業務タスクの効率化、クオリティ向上、および作業負担の削減につながることを納得してもらえるように、丁寧に説明することがポイントです。
まとめ
今回は、社内wiki導入のメリットについて紹介してきました。その機能としての役割や注意点も合わせて徹底解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。社内wikiの導入を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。