ナレッジマネジメントとは?簡単に解説

経営管理手法の一つであるナレッジマネジメント。
ナレッジマネジメントは様々な目的で活用ができるため、正しく運用していくことができれば、業務効率化などの効果を得ることができます。
本記事ではそんなナレッジマネジメントの基本からポイントまで、知識ゼロの状態からでも5分で理解できるよう解説していきたいと思います。
Contents
ナレッジマネジメントとは
ナレッジマネジメントとは、個人やグループが所持している知識やノウハウなどを企業と共有し、活用していく経営管理手法のことです。
業務をこなすうえで、ノウハウや経験に伴う知見など、知的財産がどんどん蓄積されていきます。しかし、それが社内全体に共有されず、活用することができていないというケースは多く存在します。
そこで、そのような情報を社内に蓄積し全体で共有することで、創造的な企業活動につなげていく、ということがナレッジマネジメントの目的になります。
近年、日本の企業体質が変化してきたことも起因し、そのマネジメント手法には注目が集まっています。
ナレッジマネジメントの歴史
ここでは、ナレッジマネジメントがビジネス界に広がるまでの歴史を見ていきます。
【1980年代】
ナレッジマネジメントは、1980年代に登場しました。この頃はビジネス現場におけるITシステムの活用が急速に進展し始めた時期です。各企業はシステムの中に蓄えられた膨大な情報をいかに自社のビジネスに活かすかを課題として抱えていました。
このような状況下でナレッジマネジメントは、システムの情報と人を結び付け、組織の知的資産を有効活用するためのビジネス手法として提唱されました。
【1990年代】
ナレッジマネジメントがビジネス界に本格的に広がり始めたのが1990年代です。この頃、インターネットの爆発的普及により各人が触れる情報量が圧倒的に増えました。それとは裏腹に、企業においてナレッジを共有・活用する重要性の理解はあまり進んでいませんでした。
しかし、先に紹介した野中郁二郎氏がナレッジマネジメントを促進するためのフレームワーク「SECIモデル」を提唱したことをきっかけに、ナレッジマネジメントへの注目度は改めて高まり始めました。
【2000年代】
2000年代にはいると、ナレッジマネジメントを正しい理解のもとで実践する企業が増え始めました。こうした企業は、「システムを導入しただけではナレッジの共有は進まないこと」「ナレッジの共有は部門を横断して全社的に行うべきこと」「ナレッジは実践に役立たないと意味がないこと」を念頭に置き、より現場の実際に寄り添った形でナレッジマネジメントを活用するようになりました。
【現在】
働き方改革推進や新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークが急速に普及した現在、ナレッジマネジメントの重要性が再注目されています。なぜならテレワークにおいては対面でのオフィス勤務と比べて、気軽にコミュニケーションを取ることが難しい側面があるためです。
また、終身雇用制度が崩れて転職者も少なくなく、雇用の流動化も進んでいます。
このような状況下で、多くの企業は情報(ナレッジ)を共有する大切さを改めて実感すると共に、ITをさらに活用して従来とは異なった方法でナレッジマネジメントを可能にする方法を模索するようになりました。
ナレッジマネジメントのメリット
では、ナレッジマネジメントを行うことによって、どのようなメリットを得ることが出来るのでしょうか。
そのメリットは大きく分けて、
- 属人化の防止
- 業務の効率化
- 新たなナレッジ取得
の3つに分けることができます。それぞれ見ていきましょう。
属人化の防止
属人化とは、特定の社員が担当している業務の詳細内容や進め方など、当人以外が分からなくなってしまう状態のことを指します。
もしもその社員が休んだり退職してしまった場合、その業務を進めることができなくなってしまうため、非常にリスクの高い状態です。
しかし、ナレッジマネジメントを適切に行っておくことによって情報が可視化されるため、他の社員が代行することが可能となり、リスクの回避につながります。
業務の改善、効率化
業務全般に関するナレッジを蓄積しておくことによって、業務の効率化につながります。
業務をこなすうえで生じた疑問が些細なことや繰り返しのことなど、質問するのが少しはばかられる内容だとしてもデータを参照し解消することができるため、業務の改善へとつながります。
また、対応する側の負担が減る点もメリットです。
新たなナレッジの取得
ナレッジを適切に管理・蓄積し、社員がアクセスしやすい環境を築いておくことで、新たなナレッジの取得へと繋がります。
その獲得したナレッジを基に新たなナレッジの創造へと繋がっていくので、社内での好循環を期待できます。
(詳しくは、後述する理論をご参照下さい)
ナレッジマネジメントの理論について
ここまで、ナレッジマネジメントの基本についてお話させていただきました。この章ではもう少し踏み込んで基本理論についてお話させていただきたいと思います。
小難しい話に感じるかもしれませんが、ここを理解しておくことによって、より適切なナレッジマネジメントを行えること間違いなしです。
「暗黙知」と「形式知」
まず、知識は形式化、伝達方法の分類から、「暗黙知」と「形式知」の二つに分けることができます。
「暗黙知」とは、経験的に使っている知識だが、簡単には説明できない知識のことです。経験や勘に基づく行動などがこれに当たります。
一方、「形式知」とは主に文章や図、数式によって表すことができる知識のことです。
つまり、ナレッジマネジメントは、
「暗黙知」を「形式知」に変換して共有することによって、作業の効率化や新発見を容易にしよう!
ということなのです。
4つのプロセス「SECIモデル」
ナレッジマネジメントを実現する場合、そのフレームワークとしてSECIと呼ばれるプロセスが提示されています。これは、
- 共同化(Socialization):組織内の個人、または小グループ内での暗黙知の共有、およびそれを基にした新たな暗黙知の創造
- 表出化(Externalization):各個人、グループが有する暗黙知を形式知として洗い出す
- 結合化(Combination):洗い出された形式知を組み合わせ、それを基に新たな知識を創造
- 内面化(Internalization):新たに想像された知識を組織に広め、新たな暗黙知として習得
という4段階のプロセスの頭文字をとって名付けられています。
このモデルでは、
共同化→表出化→結合化→内面化→共同化…
とサイクルを繰り返すことによって、個人の知識を組織的に共有し、より高次の知識を生み出せるとされています。
つまり、一文でまとめると、
暗黙知を形式知として洗い出すことによって、それを組み合わせた新たな知識の創造へと繋がり、その知識を共有することによって個人の暗黙知の取得へとつながる
と表すことができます。
SECIモデルの詳細解説は以下をご覧ください
ナレッジマネジメントを行う上での最重要ポイント
さて、ナレッジマネジメントを行うためにはどうすれば良いのでしょうか。
最も重要なのは、社員が蓄積されたナレッジにアクセスしやすい環境を整えることです。
ただ闇雲にナレッジを蓄積しても、社員がそれに気軽にアクセスすることができなければ意味がありません。
その為には、ナレッジマネジメントツールの導入が一つの手です。
ナレッジマネジメントツール GROWI.cloud
ナレッジマネジメントツールの一つに社内wikiというツールがあります。
社内wikiとは誰でも編集するすることができる社内版Wikipediaのことです。
当社ではそんな社内wikiとして、GROWI.cloudというサービスを展開しております。
GROWI.cloudは、多人数でのリアルタイム編集が可能な社内wikiです。
テキストやファイル情報の共有だけでなく、 図表の作成もグラフィカルに可能となっており、1つのツールでシステム設計書や業務フローなどの作成・共有も行うことができます。
その為、ナレッジマネジメントを実現するうえで非常に強力なツールです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では近年注目のナレッジマネジメントについて、解説しました。
その実現は難しいかもしれませんが、適切に運用することができれば多くのメリットを得ることができる非常に魅力的な経営管理手法です。
ぜひとも実現へ向け、本記事をお役立ていただければと存じます。